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暁鐘  作者: 獅子王
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激闘

山原伸広の激闘が遂に始まる。

走れ!未来へ向かって!

険しき山も越え、新しき大道を!


新しき道を拓こう。勝利の未来へ向かって!


山原伸広は部活に入っていた。小学校時代の友人である織田山友喜に誘われ、伸広は入部届けを出した。

彼はこの時から苦闘の歯車が回り始めていたことを知らなかった。

織田山は数ヵ月後転部をしてしまった。

伸広にとってはとんでもない話である。彼は織田山が入部するから入部したのであっただけに彼の衝撃は激しかった。さらに織田山は伸広に何の相談もなしに転部したのである。

織田山は小学校時代から人を騙す人間であった。それだけに周囲から嫌われたこともあった。一度は改心したかに思えたが、やはり習性は治せなかったのであろう。伸広は知っていながら織田山の性格を治そうとこの件以来も友人として彼を認めることにしていた。

織田山の転部により伸広は部活への意欲が薄れていった。

夏休みまではかろうじて部活へ行っていてはいたものの、夏休みの途中から行かなくなってしまった。幽霊部員となったのである。彼は敗北したのである。情けなくも敗者となることを自分から進んで選んだのである。

この時から彼の激闘の日々は始まった。二年間にも及ぶ彼の戦いは筆舌に尽くしがたいものであった。


彼の学年には数名伸広の他にも幽霊部員と呼ばれる者がいたようである。しかし、あまりにも理不尽なことに伸広には多くの人間から批判が浴びせられた。彼一人が集中砲火を浴びせられたのである。

部活に行かなくなる前から彼には様々な嫌がらせが続いていた。それも一つの彼が行かなくなる原因であったのであろう。

彼は上山正輝という友人と語り合っていた。彼とは大栗川で語り合った。

宇宙について、未来についてなど深い話であった。その度に伸広は深い思索をした。帰り道、夜空を一人仰ぎながら思索をしていた。それは、彼にとっての休息でもあった。彼は新しき道を模索していた。

彼に浴びせられる罵詈雑言はあまりにも耐えがたいものがあった。しかし、彼は絶対に負けない覚悟があった。激闘の日々は彼の体を痛め付けていた。

彼は体が弱かった。疲労から発熱することがしばしばあった。それだけに彼の戦いは心身共に彼を疲労させ、弱らせたのである。

彼はノートに「激闘」と題して綴った。

「我が原因なれどあまりにも厳しき批判。辛くとも耐えねばならぬ。断固として未来の道を。」

彼は弱音を吐くことはあまりなかったが、今回の彼は限界を感じさせる姿をしていた。

しかし、それでも彼は戦い続けることを決意したのである。

険しき山を越えるには、それだけの準備が必要である。作戦が必要である。

彼は今、一つの大山を登攀せんと歩みだしたのであった。

夕陽が輝いていた。静かな川の流れゆく音が辺りを包み、日が沈むのを待っているようであった。

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