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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
intermission6
49/63

風呂上がりの一幕

 





「あ、先輩もお風呂上がりですか?」


 子供が想像を超えて危険な状態だと知った日。就寝前の入浴を済ませ、冷えた飲み物でも飲もうか、と、訪れた厨房には、先客がいた。


「…………風邪引くだろう」


 俺と同じく入浴後であろう、普段よりも色味が濃い濡れた髪と、血色の良い頬の、薄着の子供が、


「……座れ」


 余りの無防備さにため息をつきながらカウンターの椅子に座らせると、小器用に棒一本で纏められた髪を解き、風と火魔法を慎重に使い乾かしていく、


「わ、ありがとうございます。……うーん快適ー」


 無邪気に礼を言う子供に色々と言いたいことが浮かんだが、


「……お前にも髪を乾かす魔具を作る」


 飲み込んだ。……気を張り続けるのは辛かろうと、


「え! ヤッター! ふふ、ありがとうございます!」


 乾かし終わり、ポンと肩を叩くと、笑顔で礼を言い、また棒一本で、実は肩を越すとうねっていた髪をクルクルと纏める子供、


「……器用だな」


「ふふ、慣れてますから! あ、先輩の髪も纏めます?」


「……重いからいい」


 俺の髪は太もも近くまであるからな。



   *   *   *



「もうっ! せっかくプレゼントしたのになんでヘアオイル使ってないんですかっ!」


 あの後、重くしませんし、寝る時邪魔にならないように纏めますから、との提案をされ、頷いた俺は、髪が傷んでいるっ! と、叱られることとなった。


「……俺の髪がツヤツヤで何の得がある」


 どこからか取り出した髪油を塗り付け、丁寧に櫛削る子供にため息混じりで問い掛ける。


「僕が楽しいんです!」


 ……なんだそれは、


「……んーと、僕の母様も先輩みたいに真っ直ぐでサラサラの黒髪だったんですよね。……目の色も黒、だったし」


 だった、か。


「だから、先輩の髪、いじると落ち着くっていうか……」


 ………………はあ、


「……好きな時にいじって構わない」


「!! ふ、ふふ、ありがとうございます先輩!」


 子供は嬉しそうに俺の顔を覗き込む。いつの間にか髪は、一本に複雑に編まれていた。


「じゃあ、アイスでも食べましょうか? 先輩も飲み物を取りに来たんでしょう?」


 幼い相棒の提案に、もちろん俺は頷いた。





 

『黒髪、黒瞳』


マザコン気味なシャーロックが無意識に懐く色彩。

ギュスノ、ラウ等。


とは言えもちろん人による。

 

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