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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第六話 勇者じゃなくても救える命。
42/63

scene2 承諾




   



 ……ってことで僕達が十三市に帰ったお話は終わりさ。


 ……じゃ、そういうことで帰……、


 ……ウソウソ冗談、冗談だよー。で、他のリクエストある?


 ……ん、僕の活躍? 初めに話した守護者戦以外で? ふふ、じゃあ……、


 これから話すのは僕達が帰宅した翌々日、


 ある女の子を、僕達、221Bだからこそ救えたお話さ。


 ふふ、楽しんでくれたら嬉しいな?











「これから採取、行けそうか?」


 先輩が唐突に問い掛けてきたのは屋上で洗濯物を干している最中だった。


「……んー、はい、今日は特に用事が無いんで平気です」


 タオルを捌きながら僕は答える。ノルマクリアは早い方が良いしって思いながら、


「じゃあ、頼む……上十二のトレントの材木が欲しいんだ」


 シーツを洗濯バサミで留めながら先輩が言う。……見た目の違和感ありまくりです。


「あ、そこまでなら行ったことあるんでナビはお任せを」


 ってことで装備を整えたり、朝食の残りを包んだりして僕らはギルドホールに向かった訳です。



   *   *   *



 僕はボードの一番目立つ場所に貼られた赤色の紙を読んで、すぐさまカウンターのお姉さんに詰め寄った。


「ヒートモスの緊急採取依頼って!? 誰か『氷皮症』を発症したの!?」


 ……はい、説明します。赤色の依頼書は緊急性の高いものに使われるもの。そして『氷皮症』は魔力の高い思春期前の子供が稀に発症する病気。体内魔力が暴走して体表に霜がつく、発症から一日以内に適切な処置をしなければ命にかかわる難病です。……だから、


「いつ発症!? 神官と魔法師は見てるの!?」


 僕は焦ってた訳です。そんな僕の矢継ぎ早な詰問に答えてくれたのは、


「……発症は昨夜から朝までのいずれか、マチルダ嬢が今見ています。……魔法師も必要なのですか?」


 カウンターの奥から現れた憔悴した雰囲気のチーフさんだった。


「うん、『氷皮症』は魔力の無いものか微量なものじゃ温められないって聞いてるでしょ? なんで魔法師が魔法で温めたお湯に魔法師と浸かるのが数少ない対症療法……それと神官の魔力調整と合わせて行えば……半日は延びる」


 半日は……でも、昨夜から……、


「……チーフ、患者さんを此処へ……それから博士の呼び出し……後ヒートモスの効果を最大限にする為に……」


 僕は治療薬に必要な材料と、必要な設備を告げた。ヒートモスと、同じ場所で採れる薬草以外の物は、それ程レアじゃないので多分流通しているだろう。……だから、


「……先輩」


「……上じゃなく下だな」


「ふっ、はい!! ではチーフ、ヒートモス採取、僕ら『221B』が、受けます!」


 では行こうか!





 

『氷皮症』


魔力量の多い思春期前の子供のみが発症する難病。

体内魔力の暴走により体の表面に霜がつくことからその名がついた。

治療法はあるが、それを知る者と、治療薬が合わせて存在することは皆無である為、


不治の病に近い。

 

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