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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第一話 凄腕冒険者拾いました。
4/63

scene3 白雨亭

 



「んー……お兄さん一人に任せて大丈夫だったかな?」



 職場であり住居でもある宿屋『白雨亭』に帰って来た僕は、風切り鳥の処理をしながら、さっき別れたお兄さんのことを考える。あの後お兄さんと二人で強盗七人をギルドホールにある自警団の詰め所の入口まで連れて行ったんだ。するとそこでお兄さんから、


「俺はこいつらの他に届けることがあるから、お前はここで良い……その鳥、ギルドの依頼品だろ?」


 と、言われた。七人は冒険者なので身分証明書ギルドカードの破棄と再登録不可ブラックリスト処理の為、本部の窓口まで行くから先に行っとけ、てことらしい。……あー、でも、


「やー、鳥を絞めて、内臓と羽根の処理をしてたら時間かかるんで……多分、結構後になります」


 だって仕方無いよね! 食べ物を粗末には出来無いし、直ぐ処理しないと内臓にアンモニア臭が付いちゃうんだよ! 眠り薬はもうストックも切れてるし……、


 僕はお兄さんを上目遣いで悲しげに見つめる。すると、


「……ああ、なるほど……あー、でも今日中には提出するんだよな? ならその時に証言を頼む」


 お兄さんも食べ物を粗末にするのは嫌いなようで、目をそらしつつも納得してくれました。ふふ、本当にいい人だよね。



 と、まあ、こう言う感じでお兄さんに任せて来ちゃったんだけど……。


「……んー、過剰防衛って言われたらどうしよう……」


 実はお兄さんと彼らとの実力差を考えるとそう言われかねないんだよね。……僕と言うお荷物を鑑み無ければ……。


「はー……やっぱり早めに行こう」


 順番は前後するけど、羽根を毟るのは後にして内臓の下処理からしちゃおう。……仕方無いじゃ──以下略。



  *   *   *



 そして僕は手早く内臓の下処理を終えると、最低限の荷物──護身用のナイフと財布──だけを持って、マントをバサリと羽織りギルドホールに向かう。



 ……あっ、そういえばお兄さんの名前聞いて無かったなー……無事合流出来ると良いけど……。





『ギルドカード』


迷宮近くに設けられた冒険者ギルドが発行する身分証明書。

簡単なクエストをこなすことで発行される。

持っていない冒険者は表の商店や飲食店、宿屋が利用出来ず、

スラムでしか生きられない。

冒険者の命綱。


 

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