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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第五話 僕はお家に帰りたい。
36/63

scene3 兄さんになってもらいました。

 





「っていうことで。改めましてはじめまして! 十三迷宮市所属の冒険者パーティー『221B』のシャーロック=ロイカ十四歳です! ギース兄さんの弟です!」


 とびっきりの美少年スマイルで自警団員さんと商人さん達の商会長御一行に挨拶しています基本スマイル0プロフの僕です。


 あの後班長のマルティさんと出て来た商会長のリドリーさん──ラフィちゃんの旦那様ですよこの幸せ者!──がキャラバンのお姉さん達と話し合い、僕と自警団員さん二名──護衛に貸し出した──を交換することで話がつきました。


 で、短い間だけど旅の仲間になる皆さんに挨拶をしている訳です。そして、


「え! ギース弟いたの!?」


 と、兄さんは問い詰められてます。


「いえ、いません……多分」


「多分?」


「……家に十年近く帰って無いので」


「ん? じゃあその子は違うわよね? ……多分十歳は越えてるし」


「十四歳って言いましたよねっ! 素敵なお姉さん!」


 何でみんな信じてくれないのかなぁ。……まあ、確かに僕は十四歳じゃないけれど、


「だから彼は私の弟ではありません……それで、君は? 何で私の弟だと?」


 おおっ! 紫の瞳で睨むように問われた! でも……ふふ、僕をナメないでね? 引き下がらないよ!


「ああ、ですからシャーロック=ロイカ、十四歳の冒険者です。……何と無く白っぽ仲間で弟にして欲しいなぁって」


 はい! 必殺ウルウルお目目で上目遣いを使います。これは、


「……白っぽ、いやあの、」


「別に良いだろしてやればー」


「そうだねー」


「つーか、うらやましいぞー!」


 庇護心が欠片でもある人には絶大な効果がっ! ふふ、皆さん僕の味方ですよ? 兄さん?


「……何なんですか、この状況」


 諦めた方が楽な状況です!




   *   *   *

 


 皆さんのアシストでギース兄さんに弟扱いを受けることが決定した僕です。……やったね!


「へー、シャーロック君は十三市に来て二ヶ月ちょい何だー」


 盗賊達十九人を捕縛し、兄さんが圧縮していた──レア人物がここにも!──荷馬車に──予備馬を連れてた──乗せ、十三市に向けて進み始めた馬車五台と騎馬六人の商会長御一行です。僕はちっちゃくて軽いからと自警団員の紅一点フィアさん──なんと! ラフィちゃんのお姉さんの鹿の獣人さんです!──の鹿毛の牡馬のドリー君に同乗中、そこでフィアさんから軽ーい尋問を受けてます。


「はい……前居たところで人間関係のトラブルに巻き込まれて……それで十三市に移ったんです」


 ちなみに僕はあんまり嘘はつかない正直者さ!


 ……ハハ、あなたのツッコミは何時もキレッキレだねー。


「あら、そう……で、『221B』? ってパーティーを?」


「はい、ちょっと前に組みました。パーティーって言っても僕と相棒──ジョン=H=スターリングって人の二人なんですけどねー」


 そしてメンバーを増やす予定は0です。……ほら、先輩一騎当千の魔法剣士だから。


「んー、じゃあもしかしてその相棒と暮らしてるの?」


「あー、ある意味では……僕と相棒、同じ宿屋で住み込み勤務ですから」


 毎日顔を合わすもんねー。


「宿屋? じゃああんまり冒険者の仕事はしてないんだ?」


「はい、ロルマプラス……くらいですねー」


 僕も先輩も日帰り希望だから、浅めの依頼をちょこちょこやるくらいなんだ。


「っていうかさっきののろし玉、君のだったんだよね? 自警団員に友達が?」


「はい……ほら、僕美少年でしょ? だから皆さん心配して色々くれるんだー」


 のろし玉の他にも呼び子とか、


「あー、確かにシャーロック君は美少年だよねー!」


「……いや、確かに顔は良いですが……美少年って自分で言うものじゃないでしょう……」


 隣で馬上で無言を貫いていた兄さんが思わずって感じでツッコンだ。


 ……………………………………!?


「あ、あなたは神か兄さん! ……誰もがツッコンでくれなかった僕の持ちネタ『僕美少年でしょ?』にツッコンでくれるなんて!」


 三年以上誰もがスルーしてたんだよ! それを!


「……兄さん、僕はあなたの弟に生まれて良かった」


「いえ、君は私の弟に生まれては、」


「すかさずツッコミ! さすが兄さん!」


 早い!


「いや………………はい、つまり君の発言を訂正すれば君は満足なんですね?」


「はい!」


 若干ゲッソリとした兄さんに僕は良い笑顔でサムズアップを、


「むしろそれ以外は放っておいてくれて大丈夫です!」


 魔法剣士は間に合ってますからね!


「暇な時にツッコンでくれれば僕は幸せですよ?」


 僕はスルーされ続けるのがたまに寂しいだけだから、


「……理解しました」


 さらにゲッソリとした兄さんが頷いてくれました。


 ……ふ……ふふふ……ツッコミ要員ゲーット!


 ……先輩は全スルーなんだよ。





  

『僕美少年でしょ?』


シャーロック的には渾身のボケ。

周りにとっては単なる事実。


……シャーロックは微妙に自分の容姿をわかっていなかった。

 

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