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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第一話 凄腕冒険者拾いました。
3/63

scene2 ロビーフロア

 

 

 

 前方には三人の男、振り返れば下りて来た階段を塞ぐように四人の男、囲まれているのは、見習い冒険者の僕、シャーロック君とそういえばまだ名前を聞いてなかった黒いお兄さんの二人です。……うん、どうしよう。


「……くくくくくくくっ」


 何がどうしようかって? それはそう、いつの間にか僕の隣に来て心底愉快そうに笑う──色々と──黒いお兄さんをどう止めるかだよ……。


「僕達の誘いを断っておいて、そんな薄汚い男と随分と仲睦まじい様子ですねぇ、シャーロック君?」


 睦まじい? ああ、そういえばまだ手を繋いだままだった。……位置的にちょっと腕が痛いなー……よし離そう……うん、離れた。……で、ええと? ああ、確か彼はギルドで僕の面倒を見るって上から目線で声を掛けて来た中堅っぽい三十路剣士の……ええと、何さんだっけ? まあ、いいや。下心やら何やらが見え見えで丁重にお断りしたんだよね。


「……まあ、良いでしょう、とりあえず風切り鳥を狩って来たのですよね? 我々にそれを渡してくれませんか?」


 うわっ、フラれた腹いせに僕みたいな華奢な美少年相手に七対一でカツアゲしようとしてたのかー。……うん、もしかしたらそれ以上の僕のような純真な美少年には想像も出来無いあれやこれをしようとしてたのかも知れないけどね。まあ、とりあえず。


「……はははははははっ!」


 さらに高らかに笑い出したお兄さんが一線を越え無いことを祈ろう。……まあ、一応説得はするよ?


「……お兄さん、さすがにここ(ロビー)では証拠がバッチリ残っちゃいますから、なるべく穏便に」


 って、ここがもっと深かったり高かったら事故で片付けるのも簡単なんだけど、何時人が来てもおかしく無い場所だからね。……周囲の可哀相な──目にもうすぐあう──人達こんな所でよく犯罪行為に及んでいるな。……うん、頭の中身も可哀相なんだね。


「そうか? 骨も残らず焼き尽くせば誰にもばれまい」


 あっ、出来るんだ、完全犯罪。


「……ええと、目撃者が来たらまずいんじゃ?」


「問題無い。そこのが人避けの魔具を使っている。まず目撃者は来まい」


 ……ああ、そこまで馬鹿じゃなかったんだ可哀相な人達。でも裏目に出てるよ可哀相な人達!


「何を仲良く話しているのですか! 状況が理解出来ていないのですかっ!」


 いらいらした声で僕がフッた人が剣を抜きながら叫ぶ。


「いや、グラスさん。理解して、俺らを油断させる為に余裕ぶってるだけですよ。とっとと身の程を教えてやりましょう」


 僕がフッた人──名前を覚える必要は無いなー──の隣の二十歳前後の男が僕をナメるように見ながら言う。……うわー、変態の周りには変態がいるんだね。


「ふん? まあ良いとりあえず全員かかってこい、どの程度で勘弁してやるかは床に転がしてから決める」


 ゆったりと立つどうでもよさそうなお兄さんの発言に、戦闘準備を終えた七人が殺気立つ。まあでも全然怖く無いんだよねー。



 ……さっき浴びたお兄さんの殺気に比べたらさ……。



   *   *   *



「で? どうする? 小児性愛者なんて床の染みにすべきだと俺は思うが?」


 可哀相な人達は一斉にかかって一瞬で床と仲良くなりましたとさ。……以上、戦闘終了お疲れ様です。


「まあ僕も、変態撲滅は賛成ですけど、人数と場所を考えるとまあ穏便に済ませるべきかなー、と」


 正直、人が焼けるのを見たり聞いたり嗅いだりしたく無いしね。


「はん? まあ良い俺も魔力を無駄にしたくは無い。……軽く潰してギルドの番犬に引き渡すか」


 ……潰すって、……いや、考えるな僕。気にするな僕。


「ええと、じゃあロープで適当に縛りましょうか?」


 僕はリュックを下ろそうとしながらお兄さんにたずねる。さすがにこの人数は一度に運べ無いしね。お兄さんに見張ってもらってる間に僕が自警団に行くっていうのが良いんじゃ無いかな?


「ん? 平気だ」


 そう言うとお兄さんは詠唱も無く七人の下半身を氷漬けにし、黒い蔦のような物を巻き付け、そのままズルズルと引っ張って行く。って!?


「お兄さん! 何でまた出口と反対方向に向かうんですか!」



 ぶれないよね……お兄さんは……。





 


『魔具』


魔法師の制作した魔法が込められた道具。

魔法師の力量によって性能と値段はピンキリ。

魔法師自体稀少な為基本的に高価で貴重。

但し十三迷宮市では一般に出回っている。

 

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