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『僕』と『先輩』の迷宮と日常  作者:
第四話 冒険者シャーロック=ロイカの休日。
26/63

休日二日目

 





「んー、こんな感じかな?」


 やあ、石鹸の調合中のシャーロック君だよ。


 昨日はお茶会の後、直ぐに晩御飯の準備を始めたから一日近く中断してたんだー。で、朝食後に再開し、迷宮で採れるあれこれな液体を使って石鹸を作ってるところ。で、その液体っていうのが混ぜるなちょっと危険、なんで今の僕の格好は、ゴーグルマスクの完全防備さ! このまま通りに出たら通報もののね!


「んじゃ、男性用のボディソープとシャンプーには炭粉を……と、でコンディショナー……うん、それぞれちょっとプラスするのを変えて、と」


 ちなみに、この三つは僕レシピでは基本同じで配合とプラスを変えて作ってるんだー。


「女性用のは保湿成分を多めに……と……それから先輩リクエストの……僕愛用の無香セット、と」


 先輩は香りが強いのがお嫌いらしく、料理人アンド狩人な僕の使っている、体臭を抑制し、なおかつ香らない品をご所望された訳です。……うん、なんか近づいてもなんも匂わないから気付いたらしいよ? ……うん、複雑だけど……まあね……うん…………で、それねー、調合ちょー難しいんだけどねー、これまで誰にも使わせなかったんだけどねー、相棒だからねー、ふふ、


「ついでにあの素敵な黒髪用にヘアオイルも用意しっとこうっ!」


 先輩の髪、豊かで真っ直ぐでサラサラで艶っ艶なんだよ!


「ほんとうらやましい……」


 よね? まあ、このフワフワキラキラサラサラクルンヘアが嫌い、な訳じゃないんだけど、ね。



   *   *   *



 石鹸類を作り終えたら既に太陽は天頂からズレ始めてました。


「……食べに行こう」


 たまには外食も良いよね。


 って訳でお外着にお着替えです。


 ミントグリーンのシャツにネイビーのクロップドパンツ、フラミンゴピンクのジレにセピアのリボンタイを結んで、白いモカシンを履いて、白いマントを羽織り、そして……、


「白のキャスケットを被れば……うん! 今日の僕も美少年だ!」


 ってことで、


「行ってきまーす!」


 何食べようかな!



   *   *   *



「んー、目移りしちゃう」


 時間的なことを考えてお店でガッツリじゃなく屋台でちょこちょこ食べることにしました。で、三層の西の広場近くの、数多くの屋台が営業中の通りを通ってるんだけど……、


「……ケバブ……肉まん……ヤキソバ……いや、ピロシキも……うーん、悩むー」


 見た目と匂いでの誘惑がすごい!


「……いや、ここは可愛らしくワッフルなんてのも……」


 いいよね!


「……うーん、うーん」


 って感じでしばらく悩んでたら、


「シャーロック君?」


 可愛らしいソプラノの声で名前を呼ばれました。声の方向を向くとそこには、


「あ、アンゼリカさん!」


 大きな若草色の瞳が魅惑的な、常連ラウさんの出来立ての彼女さんが!


「こんにちは、シャーロック君も遅めのお昼?」


「こんにちはー、ふふ、はい、アンゼリカさんもですか? ……でも迷っちゃって」


 誘惑が多すぎるんだもん。すると、


「あ、じゃあいくつか買ってシェアしない?」


 アンゼリカさんから容姿同様に魅惑的なお誘いが! もちろん返事は、


「しまーす!」


 です!



   *   *   *



「そういえばアンゼリカさんはここらにお勤めなんですか?」


 ケバブとピロシキとワッフルをフルーツティーと一緒に広場のパラソル付きテーブルでシェアしながら食べてる美少年な僕と美女なアンゼリカさんです。で、質問の意図はっていうと、


「僕結構ここらに詳しいつもりなのにー」


 ってこと、


「ふふ、それはシャーロック君には私の勤め先が縁遠いから……」


「? 縁遠い?」


 って?


「私、ランジェリーショップの店員なの」


 !! そ、それは……、


「……はい、僕にはしばらく縁遠いです……」


 ……うん、この頃の僕は手を加えなくても男の子で通ってたんだ。


 ……スレンダー、って素晴らしい言葉だよね?


 ……ね?






  

『広場』


三層の西にある。

誰でも使えるテーブルや噴水がある憩いの場所。


十三市有数のデートスポットです。

 

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