scene5 下層第七階層
「よしっ、下七到着ってことで」
回転ドアを通りエバープラチナをゲットした僕達パーティー『とりあえず』は『守護者』討伐と共に受けた依頼の、
「じゃあ先輩、ゴブリンを減らして下さい!」
ゴブリン討伐を行います! ……主に先輩が。
* * *
「うーん、先輩ってホント強いよなー」
ゴブリンの巣っていうか担当エリア? に、哄笑しながら攻め入った先輩を弓で邪魔しない程度にサポートしながら僕は感嘆の言葉を漏らす。さっきの『守護者』戦のカタナだけの戦いも見事だったけどカタナと魔法のコンビネーションがやっぱり見応えがあるしカッコイイ。……あ、
「君はまだだよ」
なので僕はゴブリンが団子にならないように弓で牽制するだけの楽なお仕事です。
ちなみにゴブリン討伐は常設依頼。なんでかなー? って思ってたんだけど、
「中央階段しか使って無いならそりゃゴブリン邪魔だよねー」
はい、君も後で、……あ、説明ね? 簡潔に言うと中央から他のモンスターや採取場所に行くには奴らの巣の側を通らなきゃだから、ここはそれなりのアイテムがあるからね。……おっと、
「こっち来ない。そこのお兄さんに遊んでもらって?」
そんで奴らの湧き、早いんだよなー、全滅しても次の日には半分くらい戻ってるし……あー、だから、
「僕は君らと遊ぶ気無いの」
ってな感じに好戦的だしね。
* * *
うーむ、凄惨な光景。
ゴブリンを少なくとも巣の近くは全滅させました。主に先輩が。で、提出部位である耳と魔石を回収してるんだけど……、
「数多いー、臭うー、汚れるー」
やっぱり僕みたいな繊細な美少年には討伐依頼は向いて無い。
「……別にみんな俺がやるぞ?」
わーい! 先輩は優しいなー、けど、
「えー、お金もらうのにサボれ無いですよー」
なんてったって先輩の優しさで報酬はトントンだもん。……一切働いて無い『守護者』討伐も、ね。だから、
「せめてこれぐらいはしないと」
それに、
「矢の回収もしないと、ですから」
僕の感覚では矢は消耗品じゃなくてリユースアイテムだからね。
「……そうか」
「そうです」
よしっ、頑張ろう!
* * *
「……先輩、冒険者ナメてます?」
はい、温厚系美少年のシャーロック君です。今僕は相棒さんにお説教中です。なんでかって言うと、
「せっかくのキラービーの巣が燃えかすじゃないですか!」
クリムゾンゼリーとレッドハニーと朱の蜜蝋を台なしにされたからだよ! もう!
「滋養強壮薬用に高値で売れるクリムゾンゼリーとレッドハニー、レッドハニーと合わせるだけで最高級口紅になる朱の蜜蝋! しめて約七千! 状態によっては一万以上を、何、プスプスデロデロにしてくれちゃってるんですか!」
お給料四ヶ月分だよ!? それがパーだよ!? あの大きさまで手付かずはめったに無いんだよ!? いくら温厚な僕でも声を荒げるよね!? っていうか!
「僕が止めるのも聞かずいきなり火炎弾連発? かすったよね? 僕のマントに魔法耐性がなかったら大惨事だったよね? 下手をすると死んでたよね?」
もうホントありえないよ! 前方に味方がいるのに魔法ぶっ放すとか!
「……すまない」
先輩は床に脚を揃え膝を折り座る確かセイザ、で、反省中、でもね、
「……方向音痴は体質で仕方がないかなー? って思いますけど敵だ、ヒャッハー! は仕方がないで片付けられないと思うんです」
ターゲットとか魔法の選択を見てると一部は冷静なままっぽいし、
「……先輩、先輩が今までどんな相手と探索してたのか知りませんが僕弱いです。ゴブリンでも五匹ぐらいに一気に襲われたら死にます。備えないで魔法の直撃を受けても死にます。っていうか先輩相手だと素手と完全武装でも死にます」
だから、
「僕を死なせたくないなら気をつけて下さい。指示に従って下さい…………忘れないで下さい」
「……本当に、申し訳、ありません」
先輩はセイザのまま額を地面打ち付けた。……あ、僕知ってる。これドゲザっていうんだよね! 生で初めて見た!
……ん? 怒ってなかったのかって? ……うふ……え、いや、まあ実はかすったのは、わざと、だったんだよね。……いや、アハハ、僕自分のマントの性能熟知してるし? ちょっと巣を台なしにイラ? これからを考えちょっと脅そうかと……はい、すみませんやり過ぎました。まあ、
「これからは気をつけて下さいね?」
これで先輩の暴走癖も改善したし、
終わり良ければすべて良し。じゃない?
『シャーロックのマント』
魔女の『お母さん』お手製のマント、
物理耐性中、魔法耐性強、
あまり注目されて無いがかなりのレアアイテム。
シャーロックはサイズの問題で新調予定。……作れます。




