第一幕
コメディ書きます。
可愛い女の子書きます。
果たして、正規ツッコミ役は第何幕目で出てくるのでしょうか?
それまでに気分が持つかどうか。
あの山を見よ。
どれだけ仰ごうとも、その頭頂部を眺めるのは叶わないけれど、高い勾配がそこにあるというだけでなく、必要とあらば崩すこともできる。
あの海はどうか。
潜れど底は見えず、ただそこにいるだけでスリルと孤独を味わうこともできるが、こちらでさえ埋めれば新たな土地を開拓することも不可能ではない。
羨ましい限りだ。
変わりゆく、移ろい行くモノはここにない。
何もない。
神が気紛れに手をつけ、だが飽きて手放してしまったような成り損ないの世界が一つある。
本当に何もなかった。
モヤもチリもなく、空っぽで虚しい。
シャボン玉のように何かが溢れたかと思えば、思い直したかのように割れて元に戻る。
もどかしいような。
そんなつまらないところに、別の神だったのか、それともそれ以外の何者だったのかが訪れた。
いや、何者であるのなら、むしろ世界に生み出された方が自然と適当なような気もする。
ともかく、それはひっそりとした世界に命を吹きかけた、そのキッカケとなったのだ。
どこかで見たような物を創造し、どこかで見たような誰かをくり抜いて世界を回し始めた。
するとどうだろう。
確かに静かだった世界に風が吹き抜け、喧騒とし始めたのだ。
何のことはない。
ただただ舞台が整えられただけらしい。
あの桜並木も誰かの思惑によって植えられたのだろうか。
「おい貴様。何を泣いておる?」
「ぐすっ…………」
この美しき街路樹の下で、嗚咽をあげる女と、あまりにも偉そうな女が言葉を交わした。
交わしたというより、偉そうな女が一方的に気にかけたようだ。
「水たまりで滑ってこけたか…………その有様では、泣きたくなる気もわからんではないな」
偉そうな女はそう言って、泣き止まない女を立ち上がらせてこう続けた。
「全く、しっかりせんか後輩よ。今日は大事な日であろう?さっさと行くがよい」
「でも…………服が…………」
「そんなものすぐに乾きよるわ。というか乾かしてやったから、次はヘマをするなよ、後輩」
訳のわからないことを口走り、大したことをせず、ただ言いたいだけのことを捲し立てた女は、億劫そうにその場から離れた。
「あの…………」
ついに泣き止まざるを得ない二ノ舞 千晴は、小さくなっていく女の背を呼び止めようとしたが、女は振り返りもせずこう言い捨てて行った。
「つまらんことで時間を無駄にしたくはない。じゃあの後輩よ。入学おめでとう」
「…………あ」
少し、険しいものを感じて、二ノ舞 千晴はなす術もなく振り返り、自ら行くべき道を歩きだした。
いずれまた巡り会えるかもしれない。
その時に礼を言おう、そう誓って、やがて真新しい制服を着て行進する学生の波に飲まれ、また頭上に咲き乱れる桜の空に気をとられながら軽いステップを踏んだ。
ここはどこにあるもわからない世界。
その中心は子供たちの願いによって形作られた学園ーーーー私立樋影学園。
もう何回目かもわからない入学式の日だ。
途中で止めてるやつ先に書けよ。とか言わないでください…………言ってない?
失礼。