影
梅桃さくらの闇の世界に、ようこそ。
ショートホラーの連作、第三回となります。
可愛くなりたい。
この雑誌のモデルの子みたいに、
細く綺麗になりたい。
私は毎日毎日祈った。
可愛くなれますように。
痩せますように。
ある放課後、目にしたのは答え。
私の後ろに伸びた影は、
実際の私よりうんと細く
手足も長い。
これこそ私が望むスタイル!
これが私の理想!
私はこの影になりたい!!!
翌日、私は気づく。
あれ?
私、細くなってる?
手足も少し長い。
まるで昨日の影みたいに。
願いが叶ったのだ。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
私は街に出る。
そこにも足元に伸びる影。
当然、今の私より細い。
そしてまた私は痩せる。
影が伸びるたび、どんどん細くなる。
どんどん。
そして。
私は街に出る。
太陽は真上で夏の力を見せつけている。
私は振り返り、影をみた。
‼︎
そこに影はなかった。
真昼の太陽は影を後ろに長く伸ばさない。
!!!!!!!!!!!!!
私は影。
影が消えれば私も消える。
これも高校生の時の作品です。
昔も今も、主人公のように細くなりたい私です。