第四話 色欲の神と怠惰の女神
主人公 ルラス
役職 色欲の神
特徴 女性が苦手。
備考 スローリアとはかなり深い仲のようだが……。
我が輩は昔から女性がダメだった。それは目の前で嫉妬の女神が嫉妬から彼女が愛する者と邪魔者を殺したからかもしれないし、あのヴィクトリアがプライと付き合っていたからかもしれない。未だに原因は分からない。
しかし、スロースといるのはとても居心地がよかった。プライたちには内緒にして付き合った。子供もいる。
「スロース、どうしたんだ? 1週間に1度会う約束だっただろ? 」
「う~ん、そんな約束してたかなあ? 」
「とぼけるなよ、3日前に会ったばかりだぞ」
「んとね、実はね、ビックリすることがあって~」
「? 」
スロースは我が輩たちの娘の近況をまとめた紙をくれた。そこには、なんともまあ喜びがたいものが。
「ラミヤ様が私たちの孫なんだよ~、スゴいよね~」
「いや、それよりも創造神様にバレたらお終いだぞ。我が輩たちは創造神様にも内密にしている関係だからな」
「ん、記憶は消してるし大丈夫だよ~」
「いやいや、スローリアが名前を思い出した場合はどうするんだ」
「ありえないよ~」
ちょっとおっとりしていると本人は言うが、さすが怠惰の女神。考えまでのんびりしている。
「でもラミヤ様に影響はないから大丈夫だよ~」
「そうか。我が輩も忙しいからな。そろそろ失礼する」
「うん、またね」
我が輩たちの関係はある人には明かしている。恋愛のプロだと豪語する憤怒の神だ。もし内緒にしていてバレたらここぞとばかりに怒りを吐き出すだろう。だから内緒にしたくない。
彼に相談するべく捜すと──憤怒の神は案外近くにいた。永久の煉獄だ。
「ラシィ」
「おやおや、君はまたわたしの趣味に付き合う気かい? 」
「いや、しない」
「ほう、ではあれかい。恋愛だろう」
「ああ、まあ」
憤怒の神はその辺に座った。こいつはイスが嫌いらしい。
永久の煉獄とは裁く権利がある憤怒の神が勝手に作ったものである。創造神様が罪を犯した神や女神を送り込むのだが、そこで憤怒の神が魂を鎖に縛り付けいたぶる。表向きはラミヤ様を守るため、感情とか人格を持たないただの体を作るのに必要だとこじつけている。ある意味彼も秘密事を作っている仲間だ。
「ふむ、では言ってみたまえ」
「……スローリアがラミヤ様の母親なんだ」
「……は? 」
「スロースが言っていた、スローリアが創造神様と結婚したみたい、と」
「…………こんの、バカ神! いっぺん地獄に落ちろ! というか煉獄で拷問受けろ! このバカ! 」
「すまない、君に怒られることはしたと我が輩も分かっている」
「……普段から怒っているわたしを更に怒らせるようなことは軽はずみに言うな」
彼はいつも怒っていて、スローリアができたと報告した時なんかは怒りのあまり自身の飼い犬(狂犬)を我が輩に放ったぐらいだ。今回はどうやら自主規制を必死にかけているらしい。
「それではスローリアは、記憶を取り戻したのかい? まずはそれを知るべきだとわたしは思うのだが」
「普通夫婦になれば名前で呼び合うだろう、恐らくは……」
「創造神様がお怒りになられる前にどうにかした方がいい」
「分かっている。だから下でスローリアにあわなければいけない。えっと、スローリアは何歳だっけ」
「──30を過ぎているからまだまだだな」
「ううっ」
「安心しろ、何とかしてみせよう」
にやりと笑った憤怒の神にぞっとしたが、とにかく任せてみたくなった。我が輩もスロースの影響を受けたのかもしれない。少し眠たい──。戻ったらすぐ寝よう。