第二話 美の女神の恋
創造神が後継者について悩んでいた頃、一人の女神が彼に恋をしました。彼女の名はヴィクトリア。最初の美の女神です。
しかし、彼は振り向きません。そこで思いついたのが──魔女に顔をこの世で彼が一番美しいと思う顔にしてほしいと頼むことでした。
「本当になるの? 信用できないわねぇ」
「任せなさい、ひひっ」
そして美の女神は結果に愕然とします。顔が──顔が、なかったのです。
あの美しく愛らしい青色の瞳も、整った鼻も、可愛らしい唇も消え、顔のパーツがなかったのです。しかし、目も見えるし音も聞こえます。どういうことなのでしょうか?
「どういうこと? 私の注文が嫌なの? 」
「ひひっ、残念でしたね。今創造神様は恋なんてしていないのですよ」
「そんなっ」
悲観した彼女は後にヴィクトリアの湖と名づけられる湖に身を投げました。美の女神・ヴィクトリアは11年──ラミヤ様が天に来られて1年目に命を絶ったのです。
美の女神とは本当に愚かですよね、ひひっ。
美の女神の、その後? 彼女は愛した彼のその手で永久煉獄へと送られましたよ。だって、神として愚かな行為ですから。