第一話 妖精界の創造神
妖精界の創造神については謎だらけである。そんな彼の有名なお話の一つをここに語ろうと思う。
彼にはもちろん後継者がその内必要となる。しかし、彼には美の女神でさえ美しいと感じなかった。どの女神でもダメだったのだ。
そんな彼の趣味である自身の創った世界でのお散歩。その時も彼は自信の後継者について考えながらお散歩をしたという。
「あれは、何だ? 」
降り立った彼が見つけたのは──一人の女性だった。儚げな彼女に思わず声をかけてしまった。
「あの、すまぬがあなたは……」
「はい? 」
「あ、その、私は、べつに怪しくは」
「ふふっ、あなたも私に求婚しに来られたのですか? 」
「ふぇっ!? 」
「私を振り向かせたければ名前を当ててください。私、名前を覚えていませんの。だから──きっと、本当の名前を聞いたら私は色んなことを思い出すはずです」
「……私は確かに一目惚れしたらしい。では当ててみせよう」
「ええ、期待しています」
創造神でありこの当時妖精界を管轄していたという彼はもちろん、彼女については神としての権力を使えば簡単に知ることができた。だからこの時もそれを使ったらしい。
「──スローリア」
「……ああ、きっと、正しいのでしょう、なんだか、思い出します」
「……それは、よかった」
この時のスローリアが怠惰の神であるスロースの娘だと言う者も存在するが、真偽は不明。スロースもスローリアももう──。
「でもいきなりだなんて無理です。一緒に暮らしましょう」
「もちろんです」
「それよりもあなたの名前は? 」
「──です」
創造神の名前は未だに不明。
スローリアと彼は仲むつまじく暮らし、その内娘もできた。
その娘というのがラミヤ。彼女はのちに総神となった。