魔王、勇者を生まれたと同時に倒しにいく。
私は魔王だ。魔物の王様である。
因みに性別は雌だ。♀だぞ。
私は前々から疑問に思っていたことがある。
そこらへんにあるゲームでも漫画でも何でもいい。勇者と魔王が出てくる物を手にとってもらいたい。
ゲームなら起動し、漫画ならその本を開くのだ。
わざわざ別にするのが面倒だから、ひとまとめにして喋ることにしよう。
さて、物語を紡ぐのはもちろん例外なく勇者だろう?
まぁごくまれに生意気な勇者を倒す魔王サイドの物もあるだろうが。
とにかく、物語では最初に勇者はレベル1だ。
は?8や7の勇者もいる?
そんなもん知るか。いちいち揚げ足を取るんじゃない。中学生かお前は。
しばらく物語が進むと、勇者は最初のダンジョンに入り、最初のボスを倒すだろう。
そして勇者は仲間を増やし、魔王の存在を知り、人間界の為に仲間と共に迫り来る魔王の手下を虐殺しつつ、なんやかんやあって魔王の眼前までやってくる。
そして魔王はこう言うのだ。
「フハハハハハ!!よくぞここまできた!!誉めてやろう!!だが、例え貴様でも、私を倒すことは叶わん!」
んで、威勢良く勇者に挑んだあげく、真の力を解放し、結局負けるのだ。
「ば、バカな…………!!この私が、負ける…?」
いやバカはお前だろう。私はそう思う。
お前たちの手にある物語にあるかはわからんが、私が持っている物語ではこのバカ魔王は、初めて勇者に幹部を殺されたとき、余裕ぶっこいてくつろいで笑ってたんだぞ?
勇者もその時点では魔王に手も足も出ないヒヨッコだったのに、ほっぽって自分は城で贅沢三昧。
勇者が力を上げている間、自分は怠けてダラダラしているだけ。
そら負けるわ!当たり前だッ!
なにが「バカな……!」だ!
甘えてんじゃねーぞ!
なんであいつらはレベル1の内に勇者を自分で倒そうとしないんだ!!!
ん?おお。水か。ありがとう。
ーーーーー給水中ーーーーーー
私は学んだのだ!ゲームから!漫画から!ラノベから!そしてけーたい小説から!
奴らはレベル1の内に倒さなければならない!奴らがこの城にたどり着いた瞬間が敗北なのだと!
いいかお前ら!お前らに勇者は倒せない!奴を倒せるのはこの私だけだ!
私がこのまま魔王であるためには奴を…………勇者をレベル1の内に倒す!今のうちなら勝てる!
あぁ゛?世の中には初期レベルの初期装備で魔王倒す奴もいるだぁ!?
それはごくまれにいるドM野郎だ!それか魔王がホモだ!それで手心加えてるんだよ!勇者は例外なくイケメンだからな!
またはシステムが悪い!ff8とかだったら私もできた!
…………そうだお前ら。勇者の名前が『TAS』だったら諦めろ。どうあがいても私達は勝てん。理由はググれ。
さて、前置きが長くなったがここで本題だ。
つい先日、この魔王城からビックリするくらい離れた小さい農村に将来の職業が勇者となった男が誕生した!
ん?なんだこの紙は………『勇者の名前が決定』?おお!…んと、これなんて読むんだ?と、うま?………トウマか!
よかったなお前ら!勝てるぞ!
こういうのを勝ちふらぐっていうんだぞ!
そういうわけだ!私はトウマを倒す為に旅にでる!
ええい止めるな馬鹿者めが!あのプニプニのほっぺを触ってから勇者を倒すんだ!
はぁ?行政だぁ!?んなもんこないだ全部やったっつうの!もう仕事残ってないだろ!
だっ、おまっ、全員で止めに来るなっ!なっ、ちょっお前らっ………ァンっ………オイ誰か今私のおっぱい触っただろ。誰だこらっ!!殺すぞっ!消し炭にしてくれる!!
おまえかぁぁぁぁぁぁぁ!!食らえ!えいっ!
『部下が1人消し炭になりました。魔王のレベルが1上がりました。ただ今のレベルは99です』
どうだおらぁぁぁぁぁ!!
これ以上邪魔すんならこんどはお前ら全員アフロにしてやる!どうだ怖いだろ!フハハハハハ!
…………よし。異論はないな。じゃあ私は勇者殺しに行ってくる!
一週間くらいで帰るからな!
その間やっておくべきことは全部メモってお前らの机にポストイットで貼り付けておいたから!
それじゃあな!ちょっと行ってくる!
その後、魔王城では。
四天王の1人「魔王様帰りの転移宝玉忘れて行きやがった!!」