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告 白 。
「嘘、ついてたんだ。すまない」
ハルヒトは言った。
「気づいてたのか、」
俺が少し驚いてハルヒトを見ると、呆れたように、笑っていた。
「自分の体のことくらいわかる。」
そりゃぁそうだろうなぁ
「だんだん、昨日のことや本当に昔のこと、そしてついには小学校で勉強したことすら覚えてられなくなったんだ。」
「…。」
日も暮れてすっかり暗くなった空を見てハルヒトは言った。
「僕はもう、何も覚えれない。 覚えたことを忘れていくだけだ。」
殻――――
ふとそんな言葉が浮かんだ。
ハルヒトは、殻になる。
「それでも、いいと思ったんだ。今まで十分生きてきたし。」
「何言って…」
俺の言葉をさえぎってハルヒトはしゃべる。いつもそうだ。
「でも、違った。 僕は自分が思っていた以上に弱い人間だった」
そう言ってハルヒトは、俺のほうを向いた。
ふと驚いた顔になっている。
「大丈夫だ、なにも死ぬわけじゃないんだから。」
ハルヒトはそういってベッドの上から俺の頭をなでた。
「な、何してっ…」
「だから、泣くな。」
ハルヒトに言われてはじめて、俺は自分が泣いていたことに気がついた。