最 後 の 兄 。
ハルヒトは1日中寝るようになった。
たまに起きてもボケーっとしているだけだ。
何かを食べることも、何かを飲むこともない。
どんどん弱って行った。
俺はというと冬になって寒いしサッカーは控えて、家でハルヒトの隣で勉強するのが日課になっていた。
もともとバカだった俺は、いまさら勉強を頑張ったところで全くわからない。
今日もまったくわからない問題に頭を抱えていた。
その時だ
「その答えは2だよ」
え?
もちろん、部屋にはハルヒトと俺しかいない。
おそるおそる横に寝ているハズのハルヒトを見る。
ハルヒトは上半身を起こしてベッドの上から俺の問題を見ていた。
「ハルヒト…お前…」
寝てなきゃダメだろ、って言おうとして言いとどまった。
まずハルヒトの声を久しぶりに聞けてうれしかったから、
それからなんだかもうこの声が聞けるのも最後なんじゃないか、と思ったから。
「そんなの初級の問題じゃないか。」
だって俺は基礎ができてないから、ハルヒトとは脳みその作りが違うから、
そう言いたいのに言葉がでない。
そうしてる間にもうハルヒトの毒舌は終わっていた。
そして嬉しそうに笑うと
「君は本当にバカだね、」
って言ったんだ