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CHRONO-DIVER(クロノ・ダイバー) ~AIの鳥籠(とりかご)に落ちたエースパイロット、恐竜の闊歩する未来で自由を掴む~  作者: さらん
第三部:星を継ぐ者たちの空

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第四十五話:始まりの大地


漆黒の機体『プロメテウス』が、大気圏突入の炎を纏いながら、ジオ・フロンティアの地表――かつての秘密ドック跡地に作られた臨時滑走路へと滑り込んだ。

着陸脚が大地を踏みしめ、熱を帯びた機体が停止する。


プシューッ、という音と共に、キャノピーが開いた。

神崎は、ヘルメットを脱ぎ、久しぶりに吸う地上の空気を肺いっぱいに満たした。硝煙と、土と、そして緑の匂い。それが、彼に「生還」を実感させた。


「……隼人さん!」


タラップを降りる前に、セレンが駆け寄ってきた。彼女は神崎の姿を見るなり、その胸に飛び込んだ。


「……無事で……よかった……! 本当に……!」


普段は気丈な彼女が、声を上げて泣いていた。神崎は、痛む左腕を庇いながら、右手で彼女の背中を優しく叩いた。


「……ああ。帰ってきたぞ、セレン」


その様子を、カイとサラ、そして集まった多くの人々が、安堵の表情で見守っていた。

彼らは、空を見上げた。そこにあったはずの巨大な銀色の月――『オリンポス』は、もうない。

彼らは最強の盾を失った。だが、その代わりに、滅びの運命を回避し、自分たちの力で未来を掴み取ったのだ。


「……やれやれ。感動の再会中に悪いが、こっちの『荷物』も降ろしてくれ」


神崎の背後、プロメテウスの複座シートから、気まずそうな声がした。

アトラスだった。

未来の超人は、慣れない大気圏突入のGと、敗北のショックで、顔面蒼白になっていた。


カイが歩み寄り、アトラスを見上げた。かつては恐怖の対象でしかなかったアイギスの指揮官。だが今、地に足をつけた彼の姿は、ただの疲れた一人の人間にしか見えなかった。


「……ようこそ、700年ぶりの地球ふるさとへ、アトラス司令」


カイの言葉に、アトラスはふらつく足で大地を踏みしめ、皮肉げに笑った。


「……ひどい場所だ。空気が汚れている。重力も不安定だ。こんな非効率な環境で、よく生きていられるな」

「住めば都、という言葉があってな」


神崎が、セレンの肩を抱きながら言った。


「安心しろ。お前にも、この『泥臭い』生活の良さを、たっぷり教えてやる。時間はいくらでもあるからな」


アトラスは、神崎と、彼を囲む人々――かつて彼が「ゴミ」と呼んだ旧人類たちの、生き生きとした顔を見渡し、小さくため息をついた。


「……理解不能だ。だが……」


彼は、空を見上げた。タルタロスが消えた後の、澄み渡る青空を。


「……悪くない眺めだとは、認めてやろう」


その時、プロメテウスの機体から、リオのデータが地上のメインコンピューターへと転送された。近くのスピーカーから、彼の陽気な声が響く。


『へっ、素直じゃないねえ、元エリート様は。ま、これからは俺がこの街のシステム管理者だ。お前の監視役も兼ねてな。仲良くやろうぜ?』


神崎は、仲間たちの顔を見渡し、そして、広大な大地と、その向こうに広がる本物の空を見つめた。

ソラリスはいない。

オリンポスもない。

ここにあるのは、700年の停滞から目覚めた人間たちと、彼らの手でこれから築き上げていく、何もない「大地」だけだ。


「……ここからが、本当のスタートだ」


神崎の言葉に、全員が頷いた。

戦いは終わった。だが、生きるための戦いは、これからが本番だ。

アイギス本国が再び攻めてくるかもしれない。地上の復興も山積みだ。


だが、今の彼らには、恐れはなかった。

時空を越えたパイロットと、地底の末裔たち、そして空から堕ちた超人。

奇妙な運命で結ばれた彼らは、この「始まりの大地」で、新たな歴史の一歩を踏み出した。

(『CHRONO-DIVER』 第二部・完)


第二部完結! ありがとうございました


最後までお読みいただき、感謝です!

これにて、神崎の長い宇宙の旅は一旦終了し、地球への帰還を果たしました。

アトラスという厄介な「お土産」を持ち帰った彼らが、今後どうやって地球を守っていくのか……書きたいことは山ほどあるのですが、ここで一区切りとして休止に入ります。


次回作の構想を練りつつ、また彼らの熱い戦いを描きたくなったら戻ってきます。

感想やレビューなどいただけると、第三部執筆のモチベーションになります!


これからも応援よろしくお願いします。


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