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第一章(2):五色の宝珠は絆の証、推しと出陣!


「ヴェクスを止めなければ、世界は滅ぶ。全力を尽くすぞ」



ルシアン様の声は、いつも通りの、ブレない冷静な響きだった。


だけど、その透き通るような蒼い瞳には、今まで見たことのない、深い、深い決意と覚悟が宿っているのが分かった。世界の命運をかけた、この究極の戦いに挑む、五光の勇者のリーダーとしての顔。


私の、私のルシアン様が、私たちを率いてくれる。その事実だけで、私の心は、不思議と落ち着きを取り戻した。


大丈夫。ルシアン様が一緒なら、きっと世界は救える。


私の、最強で最高の推しだもの! 彼に不可能はない!





ルシアン様は、かつて自身の魔法研究の結晶として、五つの異なる色の宝珠を編み出していた。


それぞれの宝珠には、驚くべき、計り知れない魔力が宿っていると、ルシアン様は言っていた。


この宝珠は、単なる力の源に留まらない。


後々、その真の能力や、ルシアン様が宝珠に込めた様々な願いを知ることになるんだけど、この時の私たちにとって、この宝珠は特別な意味を持っていた。


世界の危機が訪れたとき、私たち勇者たちを導く道標となる力。

そして、何よりも、私たち五光の勇者、ルシアン様と私たちを繋ぐ、言わば「絆の証」。



ルシアン様は、この大切な宝珠を、私たち五光の勇者一人一人に、それぞれの力や個性に合うように加工し、託してくれていたんだ。



ルシアン様自身は、漆黒の宝珠を、彼の指に合うように加工し、黒い宝珠の指輪としていつも右手の人差し指に着けていた。


(超素敵です!ルシアン様の指に輝く黒い宝珠の指輪…絵になる…!)



聖剣の使い手である私、セラフィナには、情熱的な赤い宝珠を、私の聖剣ヴォーパルブレードの柄頭に埋め込んでくれた。



大賢者アルドロンさんには、深遠なる緑の宝珠を、彼の賢者の杖の先にセットできるもの。



大僧侶ローゼリアちゃんには、優しい桃色の宝珠を、彼女の慈愛に満ちた心臓に近い、ペンダントとして。



そして大魔導士カスパール君には、神秘的な紫色の宝珠を、彼の鋭い感性を示すかのように、片側の耳に揺れるピアスとして。




私たちは今、悪魔ヴェクスに立ち向かうべく、それぞれの宝珠を身に着け、宝珠に宿るルシアン様の、そして私たち自身の力を込めている。



手に握った聖剣の柄頭に埋め込まれた赤い宝珠が、私の決意に応えるように、ドクンと脈打つかのように微かに温かい光を放つ。


ルシアン様の傍で戦える。 ルシアン様を護れるかもしれない。 その思いが、私の胸を熱くする。



私の推しを、この手で、私が護るんだ!


「もちろん! ルシアン様!」


私は聖剣ヴォーパルブレードを構え、ルシアン様にまっすぐに頷いた。全身全霊を込めて、ルシアン様のために、この聖剣を振るう!



「分析は任せろ。奴の弱点を必ず見つけ出す」


アルドロンさんが、杖の先の緑の宝珠を掲げ、ヴェクスを見据えながら言った。


既に彼の頭脳はフル回転し、ヴェクスの情報を解析し始めている。宝珠の光が、彼の深遠なる思考をさらに加速させているかのようだ。


五光の勇者の頭脳担当、頼りになるアルドロンさん! 彼がいる限り、どんな敵の弱点だって見つけ出せるはず!



「皆さんが傷つかないように、全力で支えます! ルシアン様も、皆さんも護ります!」


ローゼリアちゃんが、桃色の宝珠のペンダントを両手で包み込み、優しい光を纏う。その光は、私たち全員を包み込む、ローゼリアちゃんの慈愛そのものだ。


彼女の温かい光が、私たちの傷ついた心と体を癒やしてくれる。

ローゼリアちゃんがいてくれるから、私たちは安心して戦えるんだ。

彼女は、私たちの希望の光だ。



「フン、まあ、やるしかねぇだろ。面倒だがな。ルシアン様の邪魔はさせねぇ」


カスパール君は、いつもの皮肉げな口調でそう言った。だけど、彼の視線は、いつだってルシアン様を追いかけている。


片側の耳に揺れる紫色の宝珠のピアスを指で弾きながら、規格外の強大な魔法を構築し始めていた。


ルシアン様は、彼にとって、尊敬であり、目標であり、そして…いつか必ず乗り越えたい、大きな壁。

私の推しは、カスパール君にとっても、特別な、特別な存在なんだ。


ルシアン様のために、自分の全てをかけた、最高の魔法を見せつけてやる! そんな気迫が全身から伝わってくる。


ツンデレだけど、やるときはやる、最高の魔導士!




私たちは、それぞれの宝珠に力を込め、悪魔ヴェクスに立ち向かう。


私たちの五色の宝珠…ルシアン様の黒い宝珠も含めた五色の光が、今、一つになってヴェクスに挑む!


創造神ガイア様から託された使命を果たすため、そして、ルシアン様が愛するこの世界を護るために!





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