第十章(2):異界の歪み、勇者の連携
異界の気配が強くなるにつれて、私たちの前に現れる魔物も、以前この世界でヴェクスと戦っていた頃の魔物とは比べ物にならないほど、おぞましい存在になっていった。
体の一部が不自然に歪んでいたり、本来あるべきものがなくなっている代わりに別の何かが増殖していたり……ヴェクスが放っていた邪悪さとは異なる、どこか歪んだ、悍ましい魔物の気配。
しかし、今の私たちは、かつての私たちではない!
四人全員の宝珠が完全に覚醒し、私たちはかつての五光の勇者としての、揺るぎない力を、完全に、そして強く取り戻しているのだ!
「来い! 」
私が叫び、最愛の相棒、聖剣ヴォーパルブレードを構える。
柄頭の赤い宝珠が、私のルシアン様への情熱に応えるように、眩いばかりの光を放つ。
「聖剣技・光翼閃!」
放たれた光の斬撃は、瞬く間に魔物の群れを飲み込み、聖なる輝きと共に浄化していく。
聖剣の力、あまりにも爽快すぎる!
ルシアン様がくれた力、本当に凄い!
「解析完了! 奴の核は第五肋骨付近だ! そして弱点は虚無属性魔法!」
アルドロンさんが、緑の宝珠の杖を使い、瞬時に魔物の情報を解析し、的確な指示を出す。
大賢者、あまりにも頼りになる!
「カスパール君! お願い!」
ローゼリアちゃんが、桃色の宝珠のペンダントを光らせながら叫ぶ。
「精霊魔法・大地の盾!」
彼女の優しい、だけど強固な魔法が、迫りくる異界の魔物の攻撃から私たちを護る。
「チッ……お前が頼むなら、仕方ねぇな。」
カスパール君はそう言いながらも、耳元の紫色の宝珠のピアスを光らせ、膨大な魔力を集中させる。
彼の魔力は、まるで歪んだ空間そのものをねじ伏せるかのように、おぞましい、しかし圧倒的な力を纏っている。
「禁断魔法・虚無終焉!」
カスパール君が叫んだ瞬間、彼の紫色の宝珠から放たれた漆黒の光線が、魔物の核を正確に捉えた。
虚無の力は存在そのものを否定し、魔物は断末魔の叫びを上げる間もなく、跡形もなく消滅する。
彼の力、少し危険だけど、圧倒的だ……!
さすがカスパール君!
私の「推し」ルシアン様の友達、やっぱりかっこよすぎる!
私たち四人の連携は、完璧だった。
アルドロンさんの知性による戦略、私の聖剣技による突破、ローゼリアちゃんの癒やしによるサポート、そしてカスパール君の規格外の火力。
まるで、あの頃の五光の勇者が蘇ったかのようだ。
「転生前より強いかも!」
私が興奮気味に言うと、アルドロンさんが静かに頷いた。
「ああ、その通りだ、セラフィナ。我々の魂は転生により新たな器を得た。そしてルシアンがこの宝珠に込めた真の力は、その魂と完全に共鳴することで、かつてない高みへと到達するよう設計されていた。言わば、前世の経験と知識が新たな肉体で最大限に引き出され、宝珠がその潜在能力を増幅させているのだ。」
カスパール君が鼻を鳴らした。
「チッ…もっと簡単に言えば、魂に刻まれた膨大な知識や経験が、この転生後の新たな肉体という『器』で、より純粋かつ強大に引き出されているってことだろ。しかも、宝珠って名の『増幅器』付きでな。」
ローゼリアちゃんが、なるほど、と納得したように微笑んだ。
ルシアン様! 私たち、こんなに強くなりましたよ!




