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転生したら推しが魔王様になってた件~①三千年の時を超えて会いに行きます!  作者: 銀文鳥


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間章:ちょっと面倒な創造神と、完璧すぎた世界


「やれやれ……ガイア様も相変わらずだな」


アルドロンさんが、遠くを見つめて呟いた。


彼の言葉に、私は首を傾げる。


「ガイア様って、そんなに面倒な神様なんですか?」

ローゼリアちゃんも、不安そうに尋ねる。


私たちは、創造神ガイア様は慈愛に満ちた絶対的な存在だと、ずっと教えられてきたからだ。



カスパール君が、フンと鼻を鳴らした。

「ああ、面倒どころか、とんでもない完璧主義のクソ神だぜ。いつも『気に入らない。作り直したい。』って騒いでたからな。」



私は思わず「ええ!?」と声を上げた。そんな裏話があったなんて、信じられない。



アルドロンさんが、静かに頷く。


更に言葉を続けた。

「ガイア様が創ったこの世界も、最初は完璧だった。ガイア様の設計図通り、寸分違わず。どこを見ても息を呑むほど美しく、秩序正しく、非の打ち所がない……まさに、生きたジオラマといった風情だった。実際、私たちが暮らしていた時代も規制が厳しかったのは覚えているか?」



「ええ。」

私は、答えた。


そして、尋ねる。

「それなのに、どうして、ヴェクスなんてものが生まれたんですか?」



カスパール君が、忌々しそうに口を開いた。

「人間の内側に渦巻く、負の感情、それを、世界の理から少し外れた存在として、一つに集めて、実体化させる。それが、悪魔ヴェクスだ。」



アルドロンさんが淡々と語る。

「そのヴェクスをこの世界に解き放ち、私たち五光の勇者たちに討伐させる。そうすることで、ガイア様が考える『汚いもの』――人間の負の感情が生み出した歪みや混乱を、ヴェクスと共にまとめてリセットする。それが、おそらくガイア様の狙いだったのだろう。万が一、私たち勇者たちがヴェクスを討伐できなければ……ヴェクスにこの世界を破滅させ、勇者もろとも全てをリセットする。それさえも、ガイア様は考えていたのかもしれない。」



「そんな……! 私たちまで巻き込んで……!?」

ローゼリアちゃんが、絶句した。純粋な瞳が、衝撃に揺れる。



「そういえば、ルシアン様は、世界の『息苦しさ』みたいな、人間たちの『歪み』みたいなことを気にしていましたね。さすが、ルシアン様! 私の推し!」

私が誇らしげに言うと、アルドロンさんが頷いた。



「彼は、創造神ガイア様に、世界のあり方について自らの意見を伝えに行ったことがある。」



「それで、ガイア様は、ルシアン様の言葉を聞き入れたんですか?」

ローゼリアちゃんが、わずかな希望を込めて尋ねた。



「いや、聞く耳も持たなかったらしい。『生意気な。世界の全てを理解したつもりでいるのか。口を挟むなど、万年早い。定めた秩序に従っていればいい』と言われたそうだ。ルシアンはそれ以上何も言えなかったが、それ以来、彼の心の片隅に、『創造神様も……もしかしたら、本当に万能ではないのかもしれない……?』という微かな疑問が芽生えたらしい。」



カスパール君が、忌々しそうに顔を歪めながら言う。

「俺が異界の狭間で聞いた話だと、ガイアは、俺が禁忌の魔法に手を染め、ルシアン様を探し出そうとしたのも気に入らなかったようだ。それで、うちの家系に嫌がらせを……。」



「そんな……」

ローゼリアちゃんが、悲痛な声でカスパール君を見た。


彼の瞳の奥に、深い傷が見えた気がした。



「そうか……やはり……」

アルドロンさんが、静かに呟いた。彼の緑の宝珠が、微かに光を放つ。

「私はずっとガイア様が創られたこの世界に、不自然な、どこか歪んだ気配を感じていた。世界の理が、まるで強制的に抑えつけられているような感覚……ルシアンがいなくなってからは、その真実を追い求めていたのだ。そして、今回の聖裁騎士団の発言……『ガイア様は、異界の扉が開かれることを望んでおられない!』という言葉で、確信を得たのだ。私がかつて調べたこと、そしてカスパールの話……全てが繋がった。」




「カスパール君……異界の狭間って、どんなところだったの……?」

私が恐る恐る尋ねると、カスパール君は一瞬、顔を曇らせた。


「……あそこは、時間が歪んでいて、過去も未来も曖昧な場所だ。意識がバラバラになりそうな、得体の知れない空間。俺は、そこで、色々な声を聞いた。過去の亡霊たちの声も、未来の残響も、そして……ガイアの、世界の『リセット』を企む声もな。」



カスパール君の言葉に、私たちは息を呑んだ。



「俺はそこで、ルシアン様のいる異界への壁を壊すために、あらゆるものを手当たり次第に試した。魔力も、知識も。……そうやって、あの従属魔物たちを生み出した。フワワも、その一つだ……」


カスパール君は、肩に乗ったフワワを撫でた。

フワワは、まるでその言葉を肯定するように、小さく鳴いた。



彼の言葉に、アルドロンさんもローゼリアちゃんも、そして私も、驚きと、想像を絶する彼の過酷な経験に、言葉を失った。

私たちの知らないところで、こんなにも恐ろしい真実が隠されていたなんて。


そして、私たちが信じていた創造神が、これほどまでの恐ろしい思惑を持っていたなんて。


私たちが歩んできた道は、全てガイア様の掌の上だったというのか……?


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