お団子日和
ある日の午後、安堂凌生はスマホを眺めながら、ぽつりと呟いた。
「お団子が食べたい……」
リビングにいた沢弥隼哉が、ソファに寝転がりながら顔を向ける。
「急にどうした?」
「いや、さっきSNS見てたらめっちゃ美味しそうな団子の写真が流れてきてさ。こう……炭火で焼かれて、タレが照り照りに光ってるやつ」
「うわ、それは絶対うまいやつ」
「でしょ? もう頭の中が団子モードなんだよね……」
凌生はため息をついた。
「団子屋、行く?」
「いや、どうせなら作っちゃう?」
その言葉に、隼哉が「マジで?」と身を起こした。
「マジで。白玉粉なら確かあったし、こねて茹でればできるよ」
「お、いいね! どうせなら色んな種類作ろうぜ」
「賛成!」
こうして、二人は即席お団子作りに挑戦することになった。
まずは生地作り。
「白玉粉と水を混ぜて……」
「ちょっとずつ入れないとベチャベチャになるんだっけ?」
「そうそう。耳たぶくらいの硬さがベストらしいよ」
二人は粉と水を調整しながら、もちもちした団子の生地を作る。適度なサイズに丸めたら、熱湯で茹でる。ぷかぷか浮いてきたら、冷水に取って冷ます。
「よし、団子は完成!」
「次は味付けだな」
ここからが本番だ。
「まずは王道のみたらし団子から!」
醤油、砂糖、みりん、片栗粉を混ぜて火にかけ、とろみのあるタレを作る。焼いた団子にたっぷり絡めると、照り照りの黄金色に輝く。
「この香ばしい感じ、最高……」
「焼きたての団子にタレを絡める瞬間がたまらん!」
「次々やってみよう! 甘党なら外せない、こしあん&つぶあん!」
市販のあんこをたっぷり乗せた団子。つぶあんは素朴な甘さ、こしあんはなめらかで上品な味わい。
「俺はつぶあん派」
「俺はこしあん派」
「次行くよ、きなこと砂糖、そして塩を混ぜてまぶす!」
きなこの香ばしさが団子のもちもち食感と相性抜群。
「これ、何個でも食べられるな……」
「次はすりごまと砂糖、ちょっとの醤油を混ぜてペースト状に!」
甘じょっぱい黒ごまの風味が口いっぱいに広がる。
「これ、意外と渋い大人の味だな」
「でもうまい」
「ずんだ餡作るのちょっと手間だけど、やる?」
「せっかくだしやろう!」
茹でた枝豆をすりつぶし、砂糖と塩を加えてペーストに。鮮やかな緑色が美しいずんだ団子が完成。
「うわ、これめっちゃ綺麗!」
「甘さ控えめで、枝豆の風味がしっかり感じられるな」
「邪道だけど……やっちゃう?」
と、手には茶色い物体、もといチョコレートがあった。
「やる!」
湯煎で溶かしたチョコを団子に絡める。まるで和風チョコフォンデュ。
「意外と合うな」
「もちもちチョコって感じで新感覚」
「抹茶と砂糖を混ぜた餡を乗せて……」
抹茶のほろ苦さと団子の甘みが絶妙。
「渋いのに甘い……これは大人の贅沢スイーツ」
「バターと醤油を絡めるだけ!」
香ばしい香りが広がり、甘じょっぱくてクセになる味わい。
「これはやばい、止まらなくなる」
「焼いた団子に醤油を塗って、海苔を巻く!」
磯の香りと団子のモチモチ食感が最高の組み合わせ。
「やっぱり和の王道はこれだな」
気づけば、テーブルの上にはバリエーション豊かなお団子がずらりと並んでいた。
「壮観だな……」
「どれから食べよう……!」
二人は一本ずつ手に取り、味を確かめながら食べ進める。
「どれも美味いな」
「うん、マジで最高!」
ゆったりとした午後、もちもちのお団子と共に、穏やかな時間が流れていった。




