表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
six socks  作者: AI子
45/61

イヤフォンの外側で

 凌生はソファに深く腰を沈め、スマホを手に英語のリスニング教材を流していた。


 "The weather today is quite unpredictable, isn't it?"


(確かに、今日の天気もコロコロ変わってたな……)


 流れてくる会話をぼんやりと聞きながら、ノートに単語を書き留める。リスニングは得意な方ではないが、コツコツ積み重ねることが大事だ。


 そんな風に集中していた時——


 ドンッ!!!!


「……っ!?」


 突然、階下から大きな音が響いた。凌生はイヤフォンを外し、驚いて周囲を見回す。


「何の音だ?」


 リビングは静かだ。だが、確かに今、何かが倒れるような音がした。


 凌生はソファから立ち上がり、シェアハウス内を見渡す。リビングには自分しかいない。


(誰か帰ってきたのか? それとも……)


 階下に向かうと、廊下の奥で大翔が何かを拾い上げていた。


「あ、大翔? 何してんの?」


 呼びかけると、大翔は振り返り、ばつの悪そうな顔をした。


「……ごめん、ちょっとやらかした」


 床には倒れた物干しラックと散らばる洗濯物。どうやら、大翔が何かの拍子でラックを倒してしまったらしい。


「あー、なるほど。びっくりした、何かがぶっ壊れたのかと思った」


 凌生は苦笑しながら、大翔と一緒に洗濯物を拾い集めた。


「ちょうど片付けてたら、引っかかっちゃって……」


 大翔は申し訳なさそうに言いながら、畳んでいたシャツを直す。


「まぁ、大惨事ってほどでもないし、手伝うよ」


「ありがとう」


 結局、二人でささっと片付け、物干しラックを元に戻した。


 

「これでOK……っと、じゃあ、俺はリスニングの続きを——」


「っていうか、凌生って英語の勉強してたの?」


「おう、リスニングな。イヤフォンつけてたから、余計にびっくりしたわ」


「ふーん、すごいな」


「やる気があるなら、手伝うけど?」


「うーん、それはまた今度」


 大翔は苦笑しつつ、さっさと洗濯物を持って自室へ戻っていった。


 凌生はもう一度イヤフォンをつけ、リスニングを再開する。


 ——だが、また何かが倒れる音がする。


大翔がリビングにひょこっと顔を出して、


「今度は洗濯カゴ倒した……ちょっと、一人で直せない」

 

 と、助けを求めてきた。


 結局、凌生は笑いながらイヤフォンを外し、また廊下へ向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ