リビングゲーム大会
休日の昼下がり、シェアハウスのリビングには楽しげな声が響いていた。
「せっかくだし、皆でゲームしようぜ!」
大翔の提案により、普段あまりゲームをしない慎一と晴也も巻き込まれ、リビングのテレビの前に集まっていた。大翔が持っている家庭用ゲーム機を使い、4人同時に遊べるパーティーゲームをやることになったのだ。
「ゲームなんて、子どもの頃にちょっとやったくらいだな……」
慎一はコントローラーを手にしながら、少し戸惑った様子を見せた。
「俺も全然やらないんだけど、大丈夫かな」
晴也も慎一と同じように、不安そうにコントローラーを握る。
「大丈夫、大丈夫! これは簡単操作だから、すぐに慣れるって!」
大翔が楽しげに説明する。颯と隼哉も「俺たちがフォローするから」とそれぞれ慎一と晴也の隣に座った。
「よし、慎一、俺が教えるからな!」
「晴也は俺が面倒みてやる!」
「面倒って……」
晴也は苦笑しながらも、隼哉の言葉を受け入れることにした。
ゲームは、シンプルな操作でキャラクターを動かし、ミニゲームを次々とクリアしていくタイプのものだった。ルールも簡単で、反射神経とちょっとした戦略があれば勝てるようになっている。
「まずは練習がてら、軽くやってみよう!」
大翔がゲームをスタートさせると、画面上に可愛らしいキャラクターが4体並んだ。それぞれ、自分の操作するキャラクターを選び、ミニゲームに挑戦することになる。
「うわっ、動かしづらっ……!」
慎一は、ぎこちない手つきでキャラクターを操作していた。颯が隣で「ジャンプはこのボタン、ダッシュはこっち」と教えるが、最初はなかなかうまくいかない。
「意外と難しいな……」
「最初はそんなもん! 大丈夫、すぐ慣れるって!」
颯が励ましながらアドバイスを送る。
一方、晴也も苦戦していた。
「えっと……どうやってジャンプするんだ?」
「このボタン押せばいいだけ! ほら、やってみ!」
「こう?」
晴也がボタンを押すと、キャラクターが突然ダッシュして、派手に転んだ。
「うわっ!? 違う、これじゃない……」
「はははっ! 何やってんだよ!」
隼哉が大笑いする。
「いや、お前がちゃんと教えろよ!」
「悪い悪い、ちゃんと教えるって! ほら、もう一回!」
そんなやり取りをしながら、ゲームは進んでいく。
最初は苦戦していた慎一と晴也も、段々とコツを掴んできたようで、動きがスムーズになってきた。
「お、慎一、いい感じ!」
「お、やっと分かってきたかも」
「晴也もいいぞ! ほら、今のチャンスだ!」
「よし、やった!」
晴也のキャラクターが敵を倒し、ゲーム内で得点を獲得した。
「やったじゃん!」
「……なるほど、こういうゲームも、やってみると意外と面白いな」
晴也は少し驚いたように言った。慎一も「こういう遊び方があるんだな」としみじみしている。
そして迎えた最終戦。ここまで練習を重ねてきた慎一と晴也だったが、相手も強くなってきた。
「慎一、今のうちにダッシュ!」
「え、ダッシュってどのボタン……あ、やばい!」
「くっ、あと一歩だったのに!」
颯が悔しそうに声を上げる。
一方、晴也もなかなか善戦していたが——
「うわっ、やられた……」
「おしい! でも、結構いい勝負だったぞ!」
「……負けても、これはこれで楽しいもんだな」
晴也が少し満足げに言うと、慎一も同意するように頷いた。
「たまには、こういうのもいいかもしれないな」
「だろ?」
大翔が嬉しそうに笑う。
「皆でやると、ゲームも楽しいもんだろ?」
「まあ、そうだな」
「これで、慎一と晴也も立派なゲーマーの仲間入りだな!」
「いや、それはない」
「ないな」
二人が即答すると、隼哉と颯が吹き出した。
「まあ、また皆でやろうぜ!」
そんな言葉と共に、ゲーム大会は楽しく幕を閉じたのだった。