トータル・リコール
おもしろいミステリーを読みたいと思って「このミス」とかを参考にするんだけど、だいたい期待外れというか。なんで、こんなに物語の趣味が合わないんだろう。俺が馬鹿なんだろうか。嘆いていても仕方がないので、ここは自分が馬鹿であるという前提に立って、馬鹿でも楽しめるミステリーを仕立て上げたい。
と、ここまでの文章は、本来前書きにしたためる内容だから、本編に織り込んじゃうと、玄人読者はもう冷めちゃうというか。この作品の限界を見切って、読むのをやめちゃうんだろうなあ。そもそも、こうやってある事柄を活字で表現している時点で、この物語の位相は、真実であるとか、事実であるとか、そんなことを議論する形而上学的な階層には存在しないのだ。
亀太郎は、「馬鹿なくせに、自分が賢い」という揺るぎのない確信に従って、書かれたアホな作文を山ほど読んできた。今年も、自らが編集主幹を務める「丸亀ジャーナル」主催の文学賞「丸亀タートルブック大賞」の応募作を選考メンバーとして、読み込み、取捨選択する役目を担ったのであった。
最初の1行がすべてだ。
亀太郎は、受け持った50作品を読み通して、そんな結論に達した。