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第4話 無謀な旅

 ということで、帰路に着くため、まずは八戸市を目指す。


 そこから八戸市までがまたとんでもないくらい快適な道だった。


 ひたすら森の中を走り、信号機も少なく、走りやすい。

 ちなみに、この時、バイクの燃費の値が過去最高値を記録。


 実際、100mや200mに1回くらい信号機があるような都内を走っていると、極端に燃費が落ちるが、こういう快適な道では燃費は確実に伸びるのだ。


 八戸市まではとにかく快適なルートだった。


 途中、米軍基地があることで有名な三沢市を通過。もちろん、基地を見ている余裕もないし、どこにあるかもわからず。


 八戸市で給油後、八戸南インターチェンジから八戸久慈自動車道に入る。


 途中で、三陸自動車道に代わり、確か仙台まではほぼ無料の区間なのだが。


(長い)

 とにかく、この区間が長かった。


 そもそも、東北自動車道を真っ直ぐ走った方が恐らく時間的には短縮出来る。出来るのだが、出来るだけケチりたい私は、この三陸自動車道を選択した。


 そして、後悔することになる。


(暗いし、寒いし、早く仙台に着け)

 と、願いながら走りまくる。


 三陸自動車道は、ほぼ無料だが、その分、SAやPAがないし、ガソリンスタンドがほとんどない。


 幸い、燃費はいいバイクなので、ガソリンの心配はなかったが。


(暗い)

 とにかく暗い。


 途中からほとんど街灯がなくなり、暗い夜道をひた走る。「動物注意」の看板が異様に怖さを演出する。もし飛び出してきたら、避ける自信はない。


 なお、この時、実は気づいていなかったが、ヘッドライトの一つが切れていた。

 なので、ハイビームばかり使っていたが、後から考えると「そりゃ暗いはずだ」という話になる。ちなみにVストローム650XTは「ハロゲンランプ」のため、今、主流の「LEDランプ」よりも当然、寿命が短い。


 ただ、その時はとにかくこの暗い道を抜けたくてたまらない気分だったから、そこまで注意が向いていなかった。


 結局、この三陸自動車道を走り、仙台に着いた頃にはもう完全に深夜。


(仙台、明るい!)

 街灯がこんなに嬉しいと思ったことはなかっただろう。


 そして、途中でほとんど晩飯を食べる場所もなく、空腹と疲労により、仙台港インターチェンジから降りて、確かすき家だったか、松屋だったかに入ったことを覚えている。


 食べ終わった頃には、ほとんど日付が変わるくらいの時間だった。


 翌日が夜勤のため、最悪昼までには帰れれば寝れるのだが、それでもさすがに早く帰りたい気分にはなっていた。


 だが、そこから先にさらに地獄が待っていた。


 仙台から常磐自動車道で自宅までおよそ330キロ程度。時間にして4時間くらい。


 正直、ナメていたというか、疲労が限界まで来ていた。


(長い、そして眠い)

 やはり1泊3日の弾丸ツーリングは無理があった。


 そもそもVストローム650(XT)は、ヨーロッパで「アルペンマスター」と呼ばれ、長距離ツーリングが楽なバイクで、壊れにくいし、疲れにくいので、優秀なのだが。


 バイクはともかく、人間の体力が持たなかった。


 もちろん、途中のSAやPAで何度も休憩し、その度にコーヒーやモンスターを飲みまくった。


 しかし、常磐道も仙台を出発すると、一気に暗くなるし、途中までは追い越しもできない1車線区間になる。


 何も見えない真っ暗な山の中、一人でバイクを走らせていると、とんでもなく孤独な気持ちになってくるものだ。


(俺は何をやってるんだ)

 と自問自答しながら、ひたすらスロットルを回すも、回しすぎて、右手が痛くなってくる。


 ようやく水戸あたりまで来ると、街灯が明るくなり、車線も3車線に増える。


 当然、日曜日の深夜、というよりもう月曜日の夜だから、車自体、ほとんどいないか、運送のトラックだらけになる。


 そんな中、

(まだか。眠い!)

 水戸から自宅に近い最寄りのインターチェンジ、流山インターチェンジまで通常なら1時間程度で行ける。


 しかし、あまりにも眠くて眠くてヤバく、何度もあくびを噛み殺し、眠気覚ましに一人で歌を歌ったり、叫びながら、流山を目指す。

 傍から見ると、怪しい人だ。


 そして、

(やっと着いた!)

 流山インターチェンジまで来た時、深夜4時くらいだった気がする。


 だが、

(あれ)

 ゲートが開かなかった。


 ここに来て、まさかのETCゲートが開かないトラブル発生。


 疲労困憊で、一刻も早く帰って寝たいのに、ゲートが開かないため、高速道路の料金所のおじさんから、


「脇に停めて下さい」


 と指示される。


 で。

「どこから乗りました?」

「仙台港です」

 のような会話をして、説明を受けたが、まあ、正直眠すぎて頭に入っておらず。


 要は、本来なら三陸自動車道の無料区間を終えて、有料に切り替わるのだが、何らかの不具合で、それが切り替わらなかったか、一旦、降りたことで狂いが生じたとか何とか。


 まあ、どうでもいいや、という気分ではあったが。


 とにかく、領収書をもらって、無事通過。


 ということで、深夜というよりももう明るくなっていた4時台に帰宅。


 最終的に、2日と少しで1日あたり約1000キロ、2日で2000キロ以上走りました。


 良い子はこんな無茶なツーリングをしてはダメです。

 ちなみに、私、バイク歴10年を越えてますが、こんな無茶なツーリングをしたのは久しぶり。


 まあ、過去にはゲリラ豪雨に当たりまくったツーリングや、強風で飛ばされそうになったツーリングも経験してるけど。


 ただ、青森県に行きたかったのと、青森県の魅力を再認識できた旅だったのだ。青森県、実はとても素晴らしい県なのだ。いつかまた行きたいけど、もうこんな無茶はしない(笑)


(完)

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