第2話 青森B級グルメ
その目的。
味噌カレー牛乳ラーメン。
何だそれは?
という人が大半だろう。
何しろ、青森県と言えば、「りんご」のイメージが圧倒的に強い。あるいは「ねぶた」と答える人が大半だろう。
だが、北海道出身で、中学の修学旅行が青森県だった関係で、ねぶたもりんごもよく知っているので、あえて「マニアックな」ところを探したのだ。
そうすると、意外にあるある。
青森市街にこの「味噌カレー牛乳ラーメン」を提供している店が何件かあったのだ。
早速、そのうちの一軒に入る。名前は「札幌館」。何件か候補に挙げていたうち、私が札幌出身なので、吸い寄せられるようにこの店に入っていたのだが。
さすがに時間帯的に空いていたが、それでも何人かの客はいた。
注文して待つこと、数分。
来た。
見た目は、ほとんど札幌ラーメンと変わらない。一応、地元が札幌なので、札幌ラーメンはめちゃくちゃ飽きるほど食べてきたのだ。つまり、どの辺りが「味噌カレー牛乳ラーメン」というのか、正直よくわからない見た目だった。
ところが。
(めっちゃ美味い!)
不思議な味だった。
見た目は札幌ラーメンで、麺の太さも、チャーシューやもやしなどの具もあまり変わらないように見えるし、札幌ラーメンによくあるバターも載っている。
ただ、やはり「牛乳」とついているため、汁の色が黄色く、その汁というかスープが牛乳によってまろやかな味をしていた。同時にほんのりと漂うカレー味と味噌ラーメンの味。不思議なネーミングの割には非常に美味い。
北国出身、つまり北海道や青森県も恐らくそうだと思うが、寒い地域で生まれ育った人間というのは、体を暖めるために工夫をする。
それこそ北海道や青森県では、窓を二重にして、石油ストーブを家の中で何台も焚くので、家の中が異様に暖かい。
そのため、北海道出身者が上京すると、「寒い」と感じるのだ。何しろ東京の家の防寒設備は心もとない。
そして、このラーメンにも北国らしさが出ていて、味付けが濃い。味付けが濃いのも、恐らく冬が寒いから。
なので、京風の薄味などは、私は逆に苦手だったりする。
とにかく、完食。
ある意味での目的を達成したので、後は宿に向かうだけなのだが。
青森市街で宿が取れず、取れたのは十和田市。
青森市からは少し遠い。
青森市街地から少し走っただけで、一気に雄大な自然豊かな地域に入る。この辺りも北海道の風景に似ている。
途中、有名な八甲田山を通過する。
明治時代に、旧陸軍が真冬に遭難死したことで有名な「八甲田雪中行軍」の碑や博物館があるが、もちろん疲れ切っていた私はパス。
そもそも夕方だったので、もう営業すらしてないが。
実はこの辺りの丘の風景も、どこか北海道の美瑛的な丘の風景だったが、もちろん疲れていて、写真を撮るのもパス。
やはり無理をしすぎだったのだ。
ようやく十和田市の宿に到着。さすがにその日は爆睡したのだった。