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0.おわり、そしてはじまった

アヤは目の前て倒れたカルロ王子に駆け寄り抱きかかえると、カルロ王子は真っ白になった顔で微笑んだ。


「しんぱい、しないで…」


「イヤッ!カルロ王子!?しっかりして!」


アヤの悲痛な叫びにカルロ王子の前に立つ男は心の底から楽しそうな笑い声を上げた。


「ハハハッ!愉快だなあ、アヤ?」


「どうして…こんなひどいこと……」


アヤの悲痛に染まった顔を見た男は、それはそれは嬉しそうな顔をしている。


「これでアヤには俺しかいなくなったな」


「なにを……」


まさか、自分のせいでカルロ王子はこの男--本来王家を支えるはずの小公爵に謀反を起こされたというのか。

アヤはその事実に絶望し、涙を堪えることができなかった。


ーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーーー


「うーん、ついつい読みすぎちゃった」


絢乃は読んでいた携帯小説の画面を閉じてベッドに横になった。

友人にオススメされた携帯小説で、だってあなたと見つける本物の愛というタイトルを聞かれたらすこし恥ずかしくなる小説だ。王子と小公爵と主人公の三角関係をメインにしており、読んでみると意外と止まらなかった。

社畜として終電ギリギリまで働かされてる身の絢乃にとって少しばかりの現実逃避になっていた。


明日も仕事終わりに続きを読んで、そろそろ最後まで読み切りたいなと思いながら目を閉じた……ハズだった。

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