第5話 では、やれることをやっていこう! お次は施設の改良と修復をしていくっ!(前編)
申し訳ありませんが、今回はひらがな多めで読みづらい部分がございますがご了承ください。では、本編をお楽しみください。
前回のあらすじ:シソが恐ろしいほど育った。
シスター達から許可をもらって作り上げた畑の効果により、あの施設のスライムからもらった溶剤を使った肥料による栽培方法が認められ、孤児院がメインで育てている自家消費用の畑でもこれを使用することになったのは非常に喜ばしい。
ちなみにメインで育てているのは、レータという名のレタスに似たものや、キャーベというキャベツのようなもの、トゥメというトマトに似たものなど、主食ではないけど、副菜としての主役級である。その他には大豆があったのにはビックリした。残念ながら枝豆の状態での収穫は一切していないので、枝豆用にこっちで作るとしましょうか。後でシスターにおねだりしておこう。
いろいろ育てているとはいっても、土の栄養状況はお察しレベルなので、各種野菜の大きさはもちろんのこと、味もそれほどよろしくないのが現状だ。その上味付けは塩のみなので余計に厳しい、、、。
プーカやワンタは別として、ミィコはよくあの味に文句も言わずにしっかり食べていたりする。やはり良い子なのだろう。落ち着きは全くないけどな! しかし、これからはスライムの栄養剤を使っていくので完成が非常に楽しみではある。
また、意外なことに畑の作付けについてだけど、定植しておらずしっかり輪作していたのは驚きだ。これならスライムの栄養剤を使うだけでも十分良い結果が得られそうである。
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スライムの栄養剤を使うようになってから1年ちょいが経過し、俺も3歳になった。言葉もまだ若干舌足らずな部分は残っているけど、ある程度まともに話すことができるようになった。
孤児院のメインの畑も十分な栄養が行き渡るようになったおかげで、作物もしっかり育つようになり、収穫量も大幅に上がり、質もかなり向上した。味についてももちろんかなり良くなった。良い食事は良い体を与えてくれる。
プーカやミィコ、ワンタの獣人3人組も心なしかふっくらしてきており、毛づやもかなり向上した。それぞれもう立派なモフモフ要員として十分な活躍が期待できるくらいだ。
俺は人族だからモフモフにはならないけど日々の美味い食事に加え、レインパレス師匠の動画講座を思い出しながら、マーブル達に手伝いという名のお遊びを含めてサボることなく修行に励んだおかげでいろいろと動き回れるようになってきた。それでもシスター達からは許可が出ていないため、孤児院からはほとんど出ていないけどね。
シスターアリサとアリスの2人も顔色が良くなった気がする。2人とも胸部装甲がとんでもないことになっている。普段は目立たないようにかなりゆとりのある修道服を着ているのと、朝以外では孤児院をほとんど出ることがないため難を逃れているが、気付く人は気付くだろう。
以前から気にはなっていたけど、満足に動けなかったので行動に移すことができなかったあの計画を実行しようじゃないか!
その計画とは、孤児院における施設の修復および改修である。ここドボルザークの町にある孤児院でも1、2を争うほど貧しい我らが孤児院なので、施設内に所々穴が空いているだけでなく、建物の材質もよろしくない。おかげで夏は暖房、冬は冷房といった嫌な意味での冷暖房が完備されているのが現状だ。
まぁ、それでも去年は夏においては私の水術鍛錬のついでに薄くした冷たい水蒸気を建物内に発生させて暑さを多少緩和させたし、冬は暖かい水蒸気を発生させて寒さをある程度しのぎはしたんだけどね。マーブル達がいるおかげで特に隠す必要がなかったのでさっさと公表した。その後シスター達が頭を抱えていたけど、大丈夫、あなた達2人が黙っていればバレないバレない。
改修費用? そんなのあるわけないじゃないですか。地位の低いシスター2人と獣人3人。そして訳の分からない人族1人。こんな孤児院に予算なんか降りません。仮に降りても上役がピンハネしているだろうからこっちには全く来ませんってね。あ、向こうの認識ではマーブルとジェミニとライムはペット枠だからもちろんカウントされません。
それと、そのついでに入浴施設を作ろうかと。というのも、獣人3人は確かにモフモフ度は急上昇しているけど、基本は埃まみれである。一応カラダを拭いたりはするけど、それでも限界がある。シスター2人についても同様である。
それ以上に俺がキツい。水術で自分達だけキレイにするのもどうかと思い我慢してきたけど、流石に限界である。何よりマーブル達が楽しみにしているんだ。やらないわけにはいかない。
「ということで、ここのしゅーりとかいしゅーをおこないたいとおもいましゅ!!」
そう言って、とある日の朝食後に右腕を高々と挙げる俺と、それに乗ってくれるマーブル、ジェミニ、ライムの3人。それをポカーンと見る他のメンバー。少し経ってツッコミを入れてくるシスターアリス。
「・・・アイスちゃん、以前も言ったと思うけど、何が、ということで、なの!? 意味がわからないから!!」
「ボクもいろいろとうごけるようになったので、このいえをしゅーり、かいしゅーします!」
「・・・いや、気持ちは嬉しいんだけど、どうやってやるの? 材料とかは? 何より分かっていると思うけど、お金がないのよ? マーブルちゃん達が狩ってきてくれる動物達はパンや塩などと交換しているだけだからお金はこっちに入ってきてないのよ。」
「だいじょぶでしゅよ。もりにいっぱいあるじゃん!!」
「ミャア!!」「キュウ!!」「ピー!!」
「ほら、マーブルたちもまかせてっていってるよ!!」
シスターの2人は「あぁ、またか、、、。」と半分呆れつつ、シスターアリスは去年の畑の件もあり、ダメ元でやらせてみてもいいのではと思い始めた。それでも多少不安があるので条件をつけることにした。
「・・・じゃあ、やってみてもいいけど、いきなりこの建物の修復じゃなくて、何か建物を作ってみて頂戴。その建物を見てから判断するわ。」
「えっ!? アリス、そんなこと言っちゃっていいの!?」
「畑もアイスちゃん達のおかげで上手くいっているでしょ? ここもどうせ立て替えの費用なんて出るわけ無いし、ダメ元でやってもらってもいいんじゃないの?」
「確かに、それはそうだけど、、、。」
・・・しばらく2人は話し合いをした後、シスターアリサは不安であったが一応許可を出した。
「しすたー、あぃがと! がんばってちゅくります!!」
2人の許可が下り、アイスは嬉しさを隠さず満面の笑みを浮かべた。
「「うっ、、、」」
シスター2人は胸を押さえてうずくまった。
・・・やべぇ、幼児の笑顔の破壊力やべぇ、、、。確かに今の顔って自分で言うのも何だけど、メチャ可愛いんだよなぁ、、、。数年したら上の中から中の下、いや下手したらそれ以下になることは決定してるから切ねぇよ、、、。
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シスター2人はもちろん、獣人3人からも何か手伝うことはないか? と聞かれたけど、とりあえず完成を楽しみにしてて、と一応断った。作る予定なのは風呂なんだけど、配置とかいろいろ考えなければならないこともあり、作業をするのは少し後なんだよね。気持ちは非常に嬉しいけど、現段階では手伝いが必要な状態じゃないからね。
ということで、シスター達には通常業務に戻ってもらい、俺達は準備を始める。プーカ、ミィコ、ワンタの3人はお勉強の時間だ。・・・俺はといえば、3歳になったので俺もお勉強に加わっているけど、3歳の段階では読み書きだけなんだよね。で、一通りできるようになっていたので、復習という名のテストだけで済んでいる。ミィコが「ずるい!!」とか文句を言ってたけど知らねぇよ、、、。
俺とマーブル達3人以外は孤児院に戻っていったので準備開始といきましょうか。念話での遣り取りでもいいけど、ここは直接会話のほうが気分が高まるよね!
「きょうのよていでしゅが、ボクはせっけいをしましゅ。・・・きれいにかけないけどだいじょぶでしゅよね?」
「ミャア!」「キュウ!」「ピー!」
「あぃがと。まじゅはざいりょうをあちゅめてもらいましゅ。あちゅめるのはマーブルたいいんとジェミニたいいんにおねがいしましゅ。」
「ミャア!!」「キュウ!!」
マーブルとジェミニの敬礼ポーズである。控えめにいっても可愛い。
「ひろさはこのくらいで、たかさはこのくらいでしゅ。じぇんぶをきでちゅくってもいいけど、できればちゅちのかべもほちいところでしゅ。ふたりにゃら、どのくらいのきがひちゅようかわかりますよね?」
マーブルとジェミニが揃って頷く。マーブル、ジェミニ、ライムの3人でいろいろな建物を作った経験があるので、お任せして問題無い。俺? 不器用ですから、、、。
「じゃあ、おねがいしましゅね。ちゅぎはライムたいいんでしゅ。ライムたいいんは、おゆをきれいにできるスライムをさがしてくだしゃい。あとは、おふろとしてつかえるくらいたくさんのみじゅがあるばしょをさがしてくだしゃい。」
「ピー?」
「ボクらがいるときはひつようないけど、いないときようだね。」
ライムは、自分たちがいるから必要ないのでは? と聞いて来たが、俺がそう答えると「わかったー」と触手を上に挙げた。
「あわてじゅにゆっくりやっていけばいいでしゅ。だいじなのはバレないことでしゅ。では、さぎょうかいちでしゅ!!」
マーブル達が敬礼したので俺も敬礼で答礼した後それぞれ任務を果たすべく散っていった。うんうん、可愛いなと思いつつこちらも作業を始める。
といっても、俺ができることはそんなにない。俺が考えることは湯船の大きさや形状、あとは洗い場などである。シスターから出た許可の範囲はそれほど広くない。まぁ、シスター1人余裕で入れる広さがあれば大丈夫だろう。実際、湯船、洗い場、脱衣所などを含めてシスター1.5人分の広さはある。
・・・今更だけど、教会本部、あるいは他の孤児院からクレームとか来ないのだろうか? まぁ、最悪隠蔽の魔法をマーブルにかけてもらえば大丈夫か。そういったリスクが起きそうにも関わらず許可を出してくれたシスター達に感謝の気持ちを込めて準備しましょうかね。
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あーでもない、こーでもない、と悩みつつ水術で簡易スコップを作って配置を考えている。ちょこちょこ獣人3人組が交代で様子を見に来ている。回数的にはミィコが一番多かった。
プーカとワンタは何ができるのか興味をもっていた感じだけど、ミィコ、君はただ勉強をサボりたいだけじゃないのか? 何せ頼みの綱であるマーブルは材料調達に出かけており、久しぶりに日中で不在状態なのである。勉強しなさい、勉強を。
ミィコを追いかけてきたシスターは「マーブルちゃんに言いつけるよ!」というミィコに対して最も効果のある台詞を使って捕獲に成功している。ドナドナされているミィコを尻目に再び悩み作業に戻った。
今回もご覧頂き誠にありがとうございます。
毎日更新は流石に厳しいですが、できる限りこまめに更新していく予定です。