そして誰もいなくなった
ドーナツ食べたドーナツ食べた
皿の上には穴だけ残った
(マザーグース)
無人島にある大邸宅。
現在ここにいる我々は皆、同業者である。
そう。世間では名探偵として知られている我々十人は、謎のメッセージによってこの無人島へと招待されたのだ。
最初の被害者は市橋氏であった。
無惨なことに彼は首を切られ、死体となって発見されたのだ。
「これは我々に対する挑戦かもしれませんぞ」
ぽつりと私に囁いた仁川氏もまた、翌日には死体となって発見された。
「現在この島には誰も出入りできません」
「そして皆で確認したとおり、この屋敷の内にも外にも誰かが隠れる場所などはない」
「すなわち現在この島には、我々八人しかいないことになる」
そう分析した参郷氏、志村氏、後城氏も相次いで死体となって発見された。
「ふう。この手の事件は往々にして、犯人が被害者に偽装して暗躍するものだが」
「しかし今回のケースでそれはありえん。なにしろ皆が皆、首を切られているからな」
「つまり犯人はこの五人の中にいることに……」
そう推理した呂久田氏、奈々見氏、蜂谷氏も死ぬと、残ったのは二人。
「く、来るな! この殺人鬼め!」
錯乱した弓藤氏もやがて死体となってしまって。
そして私はついに、恐ろしいものを発見してしまったのだ!
そう。
重崎氏の死体を……。
わ、私はいったい誰なんですか!!
マザーグースは嘘です
ジャンル推理も嘘です
すいませんすいません