7「リャンメン待ち!」の巻
クッコロ洞窟ダンジョンの中に発見した未踏区画。
正体不明の遺跡。見たこともない材質の部屋。
そして、壁の柱と一体化するように佇んでいる美しい女を象った石像。
まるで、本当に生きているかのように、石像の表面は艷やかな光沢を放っている。
まさか、女戦士(ドジっ娘)の巻き添えで落とし穴に落ちてこんな場所を見つけてしまうなんて。
目の前にある美しい女性を象った石像は、今にも動き出しそうなほど精巧に造られている。
いくら今よりも文明が進んでいた古代の物とはいえ、すごい技術力だ。
いや、これは…
「微弱だけど、心音を感知!生きてるわっ…」
少し緊張の面持ちで、幼なじみで冒険仲間の女魔術師がつぶやく。
こいつのこんな顔を見るのは久しぶりだ。二年前遠足でこいつが漏らした時(大。13歳時)以来だ。
「…この状態で生きているのか」
ゴクリ、と生つばを飲み込むオレ。
どう見ても通常の生命体ではあり得ない。
「…どうする?」
女戦士がオレの判断を乞う。この冒険者パーティーの小隊長は、オレだ。
「どうするも何も。…放っとこう。古代呪法【石化】で封印されてる時点で分かる。こいつは、危険な存在だ。オレ達みたいなペーペーの冒険者じゃなく国軍の管轄、
…って、おぅぉい何してるそこ!!」
見ると女魔術師が、手に持つナイフで宝石でできた首飾りを石像の首から外そうとしている。
「なにって、決まってるでしょ。『石化』のアーティファクト回収してるのよっ」
言いながら、女魔術師(オテンバ娘)は小さな唇の端っこから小さな舌を出し片目をつぶりながら首飾りの宝石を石像の首から外そうとする。ワンパクか。
石像の首元を飾る宝石は『キラッ…!キラッ…!』と妖しく輝いていて、分かりやすく罠だ。
「いや…、着ている服ごと石化してるのに首飾りだけ無事ってことは!
……首飾り外すとそいつ石化解けんじゃねぇの?」
心配して、ラッテを止めようとするオレ(常識人)。
「大丈夫よ!万が一のために【光縛式鉄鎖】と【催眠幻覚薬筒】のリャンメン待ちさせてるからっ」
両目を『T(大陸共通貨:1テラ≒0.8円)』の形にして、金の亡者と化した幼なじみ(バカ1)と、
「いつでもいいぞ!」と言いつつ敵を縛るための鎖を自分の利き腕の手首に巻きつける幼なじみ(バカ2)。
「行くわよっ、いっせーのっ…」
……そして、封印が解けた『敵』に【光縛式鉄鎖】と【催眠幻覚薬筒】を奪われ、オレ達自身に対して有効的に利用された挙げ句、現在に至る。
続く…
好きな待ちは『萬子』です。