38「それぞれの夜」の巻
冒険者小隊『カフェラテ・モブ』のメンバー四人が、イヤメテの町に戻って一日目の夜が深々と更けていく。
今回は、メンバー各位がそれぞれ『イヤメテの夜』をどのように過ごしているのか、を一人ひとりクローズアップして見てみたい。
まずは、小隊長〚モビーの夜〛。
≈≈≈
宿屋の風呂場でひとっ風呂浴びた後、マッサージチェア(魔石動力)に座り、風呂上がりの瓶入りコーヒー牛乳(らくのうファザーズ)を飲みながら、ヨーグルト(はる風ヨーグルト)を食べている。
ゴキュゴキュ…と喉を鳴らしながら、キンキンに冷えたコーヒー牛乳を風呂上がりの乾いた喉に流し込みながら、モビーは独りごちた。
「……ぷはぁ!!『この一杯』の為に生きてるよなぁ、オレ!」
おっさんのような感想を述べるモビー(若くして苦労人)。そんなモビーに心配そうな視線を送る番台のおばあさん(同じ年頃の孫がいる)。
イヤメテの町の宿屋に泊まり、モビーは久しぶりの『安全な夜』を満喫していた。
モビー達のような冒険者にとって、『夜』とはモンスターや盗賊共の夜襲を警戒しなければならない『最も危険な時間帯』なのだ。
しかし、『街の宿屋』の中には少なくともモンスターはいない。
自分に向けられる番台のおばあさんの心配そうな視線に気付きもせず、悠々と宿屋の風呂場を後にするモビー(探査神経が弱い)。
モビーは宿屋の自分の部屋に入る前に、一回チラッ…とカフェルが泊まっている隣の部屋のドアに無意識的に視線を走らせた。
冒険中、野宿している時は特に気にならないのに、街の宿屋の中では『女性』が隣の部屋にいることが妙に気にかかる。
なんでかな?と思いつつも、あまり気にしないお子様なモビー(イヤメテ、夏、17歳)。
自分の部屋に入ったモビーはベッドに倒れ込む。
そして、サリサリする布団のシーツの感触をベッドの上でゴロゴロしながら、しばらくの間全身で楽しんだ。
「わぁ!ふかふかの宿屋のベッド!」
ベッドの上をゴロゴロしながら思わず子供みたいな感想を言ってしまい、モビーは一人で赤面する。
……今の、隣の部屋のカフェルに聞こえてないかな?
「……でも幸せだぁ!『ふかふかサリサリのベッド』!」
また同じような言葉を繰り返して、庶民的な幸せに浸るひどく安上がりな小隊長であった。
続く…
次回は〚カフェルの夜〛…
好きな夜は『真山……すき』からの『うん……ありがとう』です。




