35「咲き乱れる百合の花の伝統と格式」の巻
「は…恥ずかしいよぉ…」
『いつも元気な女戦士』の口調ではなく、『内気な19歳の女の子』の口調になり、モジモジと本気で恥ずかしがる女戦士(乙女の素顔)。
それを見た野次馬達(誰かの父であり息子達)が、オォーッ!と歓声を上げる。女魔術師(ちゃっかり者)が地面に置いた缶詰の空き缶(はるさめフーズ)の中に次々投げ入れられる投げ銭。
投げ銭する男達の中には、当然のように町の役人達(職務放棄)を含む。
「……恥ずかしがってる女戦士も、素敵よ」
女戦士(まだ少女と言っていい)の耳元に、女魔術師(とっくに熟女と言っていい)が優しく息を吹きかけながら囁いた。女戦士の若くしなやかな肉体に熱い視線を送りながら、耳元で甘く囁く『美しい同性』の言葉に女戦士(純粋すぎるが故に…)は激しく動揺する。
それを見た野次馬がまたも投げ銭。すでに缶詰の半ばまで銅貨が貯まっている。
「でも、こんなんじゃわたし!イザというとき戦えない!」
顕になった自分の胸元とお尻を細い手で隠しながら顔を真っ赤にした女戦士は、女魔術師に向かって必死で抗弁した。あまりの恥辱に女戦士は少し涙目になっている。
さらに止まらない野次馬の投げ銭。
「……私が小隊に加入するまでは、『小隊最年長』として『いつも頑張って』いたのよね?いいのよ『私にだけ』は。……甘えても」
若い女戦士(ホントは気弱な子…)の柔らかな『心の襞』に這い寄る毒蛇のような甘い言葉を吐きながら、女戦士のメリハリ肉体に自分のワガママ肉体を密着させていく女魔術師(ほんとに鬼畜…)。女戦士の『Gカップ』のお椀型の胸と、女魔術師の『Fカップ』の鳩胸が、二人の胴体の間でまるでスライムの触手のようにプニョプニョと激しく暴れまわる。
それを見て感涙する野次馬達(本当は寂しい大人達…)。
女戦士は蛇に睨まれた蛙よろしく、大勢の男達の前で『美しい同性』に優しく迫られる羞恥心のあまり、荒い吐息をつくばかりで動けなくなっている。そして、大人の女魔術師は、大人の階段を登り始めたばかりの女戦士の背中を公園の樹木の幹に押し付け、女戦士の細くしなやかな両脚の間に自分の脚を差し入れて女戦士の動きを『優しく』封じた。
「ッ…!女魔術師さん!!な、なにをっ…!!」
言葉だけで抗おうとする女戦士の両腕をやさしく『バンザイ』させたあとで、女魔術師はしなやかな手付きで女戦士の両手首を片手で封じ、もう片方の手を女戦士の背中に回してさらに体を密着させた。
……しかし、拒もうと思えばいくらでも抗えるように、あくまで『優しく』……。
「サ、女魔術師さん、や、やめ…やめて、くだ…さい……」
だが、女戦士の体は言葉とは裏腹に女魔術師を拒もうとはしない。むしろ女魔術師の手の動きに合わせるかのように、女戦士は自分の身体の向きを変えた。少しずつ。さり気なく。……誰にも気付かれないように。
それに気付きながらも、女魔術師(攻めるタイプ)は何も言わず、やさしく微笑みかけながら女戦士(委ねるタイプ)の細く白いうなじに唇を這わせ、背骨に沿って背中を指先でさわさわする。
ヘビのように妖しく蠢く女魔術師の赤い舌先と、クモのように這いずり回るしなやかな指先で、うなじと背中を二点同時に攻められた女戦士カフェル(女扱いされない歴19年)は、甘い吐息を吐きながら『バンザイ』していた両腕を女魔術師サクラ(鬼畜歴400年以上)の両肩にまわして力なくしなだれかかる。
そこには普段のハツラツとした『いつも元気な女戦士』としての面影は、ない。
そして、同じ小隊に所属する冒険仲間である女二人の狂騒は。
今。最高潮となる。
「おっ、お姉様ぁ、あ…ッ!!」
「ふふふ……あとで私の部屋にいらっしゃい……」
「……すな」
軽くツッコミながら、待ち合わせ場所に来たオレは、手に持つピコピコハンマー(E級遺物)でサクラとカフェルの頭をポコンポコンと叩く。
町の公園のド真ん中で何やっとるのだバカ二人。
続く…
好きなユリは『ユリ・サカザキ』です。




