22「パーティーの稼ぎ頭」の巻
「おめでとうございます!『カフェラテ・モブ』の地図が、ギルドに新規登録されました!」
イヤメテの町のギルド職員の女性が、満面の笑顔でオレを祝ってくれた。
オレの周りを取り囲む冒険者達も、オレの肩を叩いたり、思い切り拍手したり、口笛を吹いたり、涙ぐんだりして、オレと一緒に喜んでくれた。
この世界で、『人類の既知領域』を拡げることが、オレ達、『地図士』に与えられた使命でもある。
自分の作った地図が『この世界の新しい地図』として登録されることが、オレ達『地図士』の最大の名誉であり、存在理由そのものと言っても過言ではないのだ。
17歳で、地図士のオレはそれをやり遂げた。
オレの作った地図が報奨金銀貨50枚(≒大陸共通貨に換算して約1250,000テラ)で、ギルド正式地図として新たに登録されることになったのだ!
今後、数多くの冒険者達がオレの作った地図を利用することになるだろう。
当然、地図士だけでは『世界を拡げる』という使命は達成できない。ともに冒険者パーティーを組む仲間達の協力が不可欠である。
実際、ほとんどの地図士は、オレと同じく自分専用の冒険者パーティーを編成し、戦士、魔術師、商人、盗賊など、様々な職能を持つ者達を従えつつ、それぞれの活動の幅を拡げている。
しかし、オレにとっては『既知領域を拡げこの世界を人類の手に開放していく』という地図士としての本来の使命よりも『仲間と一緒に楽しく冒険の旅を続けること』の方が、何百倍も大切なのだ。
オレにとって、お金なんか仲間との冒険の旅に比べたらなんでもない。
≈≈≈
(…でもまあ、お金はお金だよな)
オレは冒険者パーティー『カフェラテ・モブ』の小隊長として冷静に判断し、手に入れたお金で次の冒険の準備を整えることを決断した。
それが、ゆくゆくは大切な仲間達を護ることにもつながるのだ。自分が稼いだお金で仲間達の今後の安全が保たれるのだから、これは小隊長として誇りでもある。
「…軍資金も出来たし、買い出し行くぞ」
ぶっきらぼうな言い方は、オレの照れ隠しでもある。いつもオレのことをからかっている仲間達も、今日だけは茶々を入れずにオレを祝福してくれた。
「了解です、小隊長!」
歳上の幼なじみでもある女戦士は、その顔に誇らしげな笑みを浮かべながらオレに向かって敬礼した。まるで眩しいものでも見るような目で、女戦士はオレを見ている。いつもこのくらい素直ならいいのに……。
「……じゃ、行きますか」
言葉少なにサクラが言った。心做しかサクラはいつもよりも優しく思える。
そして、オレ達三人は実家に帰っているラッテ以外のパーティーメンバーで、この町で冒険の装備を整えることになった。
続く…
好きな照れ隠しは『手前にもわかりませぬ』です。




