2「一応、オレが小隊長」の巻
オレが所属する冒険者パーティー、
『カフェラテ・モブ』は、
幼なじみの男女三人組のパーティーである。
別に小洒落た純喫茶がパーティー名の由来ではなく、単純にパーティーメンバーの頭文字を繋げただけだ。
最年長19歳の女戦士BT(ベアトリクス)・カフェルの
『カフェ』と、
最年少15歳のモカ・ラッテの
『ラテ』、
そしてこのオレ、17歳マッパーのモービウス・デルトロ・バブルポップの愛称モビーから
『モブ』。
つなげて『カフェラテ・モブ』だ。
オレが反対した時には、すでに幼なじみの魔女っ子ラッテの手によって、申請書が出されギルドに受理されていた。
別に冒険者だからといって、
パーティー名を登録する必要性が、
必ずしもある訳ではない。
むしろ、無い。
しかし、オレに対するイタズラに日夜知恵を絞る、最年少の魔女っ子ラッテの遠回しな嫌がらせ行為のために、
あえてパーティーの小隊長として登録されたオレは、
ギルド依頼を受けるたびにギルド受付のおねえさんに
「カフェラテ・モブです…」
と挨拶し、
依頼達成時には、
「カフェラテ・モブさ〜ん。依頼達成料の精算が終了しました。カフェラテ・モブの小隊長モービウス・デルトロ・バブルポップさ~ん」
とギルド受付の放送で呼び出されるハメになったのだった。
あいつ(ラッテ)、余計なことしやがって…
≈≈≈
オレ達冒険者小隊『カフェラテ・モブ』のメンバーは、それぞれの準備を終えて、町を出てすぐの草原の道に集結した。
「―――じゃあ二人共、準備はいいな!」
「応!」「……はやく行こっ」
小隊長であるオレの号令に返答を返す仲間達(約1名、小隊長への敬意皆無)。
オレ達はこれから危険な『洞窟ダンジョン』に挑む。
これから挑む洞窟の中には、危険なモンスターや危険な罠が待ち構えているだろう。
もしかして、盗賊も待ち構えているかもしれない。
しかし、地図を読み解き、地質や地形を読み、
壁や床の罠の有無を調べ、安全な道を選ぶことで冒険者小隊の仲間を守ることが、オレの役割、
『マッパー』の大事な使命でもある。
町にいる間に、そのための準備も整えてきた!
高まる冒険の予感に、オレの胸の鼓動が高鳴る…
やっぱり、冒険といえば『洞窟ダンジョン』だ!
オレは一人拳を握りしめる。
やっぱり、仲間との冒険は男の子の浪漫だ!
「……なんか拳作って一人で浸ってる
ネクラなモビー君は無視して、出発しんこーっ!」
「オーッ!」
昂ぶるオレ(一応小隊長)を置き去りにして、
幼なじみの女魔術師(仕切りたがり)と幼なじみの女戦士(ステレオタイプ)は、草原の道を先に歩き出した。
…まあ小隊長なんて、どこでもこんなもんだ。
好きな小隊長は『バニング大尉』です。