15「美人で強くてその上悪女な色っぽいお姉さんから一方的に『養分』にされてる、オレ…」の巻
モカとカフェルの二人はダンジョンから外に出てきた時に「大きな、それは大きな花を今から摘みに行ってくるっ」とオレに言って、今森の中にトイレに行っている最中である。
「ところで、『養分』って何?」
ん?、とクッコロ洞窟ダンジョン名物『スライムの触手焼き』を頬張りながら、サクラが振り向く。
オレ特製の黒く甘辛い秘伝のタレに漬け、炭火で丹念にじっくりと焼き上げたスライムの触手焼きは、このパーティーのクッコロ洞窟ダンジョン探索に欠かせない珍味である。見た目がとにかくグロいのが玉に瑕だ。
「いや、食べ物は普通のものなのに、オレの何を『養分』にするのかな、って思って。…養分なんだろ、オレ?」
一緒にいる以上、過度に気を使っても仕方がないので、オレはサクラに対してだいぶ前からタメ口で喋っている。
サクラは、少し歯応えのあるスライムの触手焼きを丈夫な歯でくちゃくちゃ咀嚼していたが、やがてゴクンと飲み込んだ。サクラは触手焼きの味が気に入ったらしく、冒険用クッキンググリルの隅で火にかざしてある二本目の触手焼きの串に手を伸ばす。
「今トイレ行ってるあいつらの分も残しとけよ!」
と、オレが注意すると、サクラは素直に手を引っ込めた。
「…そんなこと女の子の前で言うなんて」
とか、なんとかサクラは口の中でまだブツブツ言っている。
「『養分』について説明したら、2本目焼いてやるよ」
オレがそう言うと、サクラは喜んで『養分』についての説明を始めた。
続く…
好きな養分は『牛乳』です。




