14「デラ」の巻
クッコロ洞窟ダンジョン最深部にて。
「…なんでオレには、記憶操作をかけない?」
「ん?」
何を言ってるのこの子は?
の表情を浮かべる魔女。
「二人にかけたような魔法だかなんだかをオレにもかけたらいいだろ。そうすれば、おまえはオレを『養分』にしたまま安全に外の世界を楽しめるじゃないか。
なぜ、そうしない?」
これは当然の疑問と言えるだろう。
この魔女は記憶を操作できるのだ。しかも、オレを長い期間かけて『養分』にするという。ならば、オレにも催眠なり記憶操作なりをかけて操ればいいんじゃないか。
「遊びは危ないから面白いんじゃない。…白けたこと言わないでくれる?」
シャバ僧が、と床の上につばを吐き捨てるサキュバス。腹の底からバカにするような顔をオレに向けている。
こいつは、どうやら『自分のすべてを知るオレを傍らに置きつつ、オレの幼なじみ達の前ではちょっと年上の仲間のお姉さん』を演じるつもりらしい。ほんとゲス。
「私のことは『サクラ・デラ・キュリオス』と呼びなさい。今の世界での名前があった方が、この世界を自由に楽しめるものね」
再び、明るい魅力的な年上の女性の笑顔を浮かべるサキュバス。笑顔だけを見ていれば、こいつが『古代の悪神』だなんて信じられない。
「…『デラ』って、何?」
他に思い付かず、素朴な疑問をオレは口にする。
「決まってるじゃない。『デラべっぴん』のデラよ」
「……」
「『すごく別嬪さん』って意味」
一つためになったわね、の素敵な年上の笑顔を向ける、サキュバス改めサクラ。
もう何も言えねえ。(オレが)気の毒すぎて。…何もいうことはねえ。
続く…
好きなジョジョは『第三部』です。




