食事という文化が無くなった未来で料理を求める
栄子はディーノを愛していた。ディーノはある日こう言った「料理ってやつを食べてみたい」と。
3⚪⚪⚪年。人類は食事をとる必要もない肉体に進化した。栄子は困った。
ディーノを振り向かせる為に料理を作ってあげたいが、栄子は料理に興味がない。約200年間の人生で食事をした事すらない。困り果てた栄子に幼なじみであり親友のギブソンはニヤニヤとこう言った。
「おい栄子。金をくれれば俺が代わりに料理してやるよ」
「あなた料理が出来るの!?お金ぇ?あなた変わってるわねぇ。そんなものが好きだったの?」
生きるために仕事が必要で仕事をすると金とやらを貰える時代があったと栄子も聞いたことがある。
「お金ね。分かったわ。ディーノの為に仕方ないわ」
「……出来やしねぇよ」
「お黙り!」
お金を集めるのは少し面倒だけどはるか昔に失われた文化である料理を学ぶより、現物として残っているお金を集める方がまだマシだ。30年ほどかけて35000円を集めた栄子はそれをギブソンに渡した。
「ひっひっひっ!毎度あり!」
「約束よ。ディーノの為に料理を作って」
「……ああいいぜ?」
「ギブソン。あなたずいぶん痩せたわね?」
「うるせぇよブス」
「まぁ!酷い口!」
「約束は守るぜ」
栄子はディーノを自宅に招き。キッチンでギブソンに料理を作ってもらいそれをディーノに自分の手作りだと偽り振る舞った。
「ヤキオニギリ」「ヤサイイタメ」「オミソシル」「ホウレンソウノオヒタシ」
(これが料理なの?手が汚れそうだわ)
ディーノは料理を喜んで食べた。料理に感動したディーノは栄子に熱いキスをした。
(料理の味がする)
ディーノはその場で栄子にプロポーズ。栄子もそれを快諾。栄子はギブソンに深く感謝した。
キスをしながらキッチンにいるギブソンと目があった。ギブソンはグッドのハンドサインをして消えた。
(ギブソンありがとう)
…
…
料理を覚えるために。食材を集める為にギブソンは身を粉にして頑張った。この時代にそれをするのに30年はあまりに短かかったが彼はやりきった。寿命が数百年は減っただろう。今にも倒れそうだ。
(これが疲れるってやつか?)
「ああ疲れた」
ギブソンもまた料理にも食事にも興味がない人間だった。




