3-1
医務室にて、ヒルデから自暴自棄に似た殺害宣告をされて数日が経った頃。雪を割りながら大地を進んでいた【陸上探査艦‐ŋ】は、戦前の遺物が多く残る旧市街地でその航行を一時的に停止させていた。
「遺物を【なかつくに】に運ぶのが役割だとはいえ、こんな時にまで回収を優先させるとはな」
しかも連日続く【邪竜】の襲撃に【飛竜】さえ混じるようになった今日に、戦闘員を含めた三割の人員を充てさえして。
勿論、旧市街地に【邪竜】からなる竜種の類が寄りつかないのは周知の事実ではあるし、オレもシグルズさんからそう教えられている。だが今回ばかりは不安にならざるをえない。
「ヒトを襲う事を覚えた以上、旧市街地とはいえ安全である保障はないだろ……」
人気のない廊下から逸れ、下階へと至る階段を降りはじめるニアズは、胸騒ぎ混じりの胸中を吐露する。しかし、ソールを含めた班員全員が遺物回収の任に付いている今、彼の言葉に答える物は誰一人として居なかった。
「はぁ。まあ……今回は良い機会を貰ったという事にしておくか」
医務室で目覚めてから今日に至るまで、毎日ソールと共に居たニアズは改めて「はぁ、」と気だるげに息を吐く。
直情的なソールのことは嫌いではない。嫌いではないのだが、流石に四六時中行動を共にするのが連日続くとなれば、流石に気が滅入る。
幸運なことに艦長であるフィオナから「病み上がりの人間を戦闘に参加させるわけがないだろう! 船内で待機していろ!」と直々に命令されたため、戦闘時の身別行動が叶っていたが――ヒルデに会う。という目的を果たすにはどうしても折が悪かった。
ソールが共に居ては隠れ、戦闘時には【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】を操作するためにか姿を消してしまうヒルデ。医務室で「殺す」と宣告されて以来一度も彼女には会えていないが、戦闘時でもない今であれば、会うことが出来るはずだ。
今日こそは居てくれよ。と、半ば祈りながら階段を下りきり、【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】安置室の扉の前までやって来たニアズ。彼は深く息を吸い、吐くと、自身の船員証で扉を開け、その中へと足を踏み入れた。
「ひる、で?」
冷えた室内の床に座り、【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】を拭く小さな人影。ソレを視認したニアズは、今一度「ヒルデ」と会いたいと祈っていた子供の名を呼ぶ。
「……あ、ニアズさん。元気になられたんですね……、よかった。じゃない、……えっと、ま、まだ準備が出来ていないので……っ。だから、その。まだ、ニアズさんのことは殺してあげられないです、ごめんなさい!」
ニアズの顔を見るや否や、【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】を持ったまま立ち上がり、言葉を発しながら頭を下げ、更には後退までするという器用さで彼から距離を取るヒルデ。
あからさまな狼狽をみせた彼女を前に、ニアズは自身の目頭を押さえる。
「ヒルデ、そこから動くなよ」
「っ!」
冷ややかさ混じりのニアズの声に、肩を跳ねさせるヒルデ。一方、かつん、かつん。と、竜脚故に響く足音を鳴らしながら、ニアズは立ちすくむヒルデの前へと向かい、立ち止まる。
「ヒルデ。オレのことは殺さなくていい」
「……へ?」
彼女が顔を上げずとも済むように、膝を屈めたニアズ。彼はヒルデの顔を隠すフードを剥ぎ取ると、その下にあった夜明けを思わせる空色の瞳と視線を交わらせた。
「むしろ、オレを助けてくれて……ありがとうな」
出来る限り優しく。と、気を付けながら、ニアズは甘やかな香りを放つ『花』が混じったヒルデの頭を、やわく撫でつける。しかし彼からの言葉を信じられないらしいヒルデは、こわばる唇をゆっくりと震わせる。
「……本当に、二アズさんのことは、殺さなくても良いの? 後から殺してほしいって望んでも、死にたいって願っても……叶えてあげないよ? それでも……構わないの?」
「ああ、それで構わない」
目を見合いながらの会話を経て、ニアズの言葉を信じたのだろう。張りつめていた糸が解けるように、緊張気味だったヒルデの身体からゆっくりと力が抜けてゆく。
「っ、わ……わたし、ニアズさんと別れてからずっと、『花』なんて、植えなきゃよかったって思ってて……。でも、ニアズさんのこと、殺したくなくて。だから準備も、出来なくって……」
気が緩んだことで、我慢していた感情が決壊したのだろう。とぎれとぎれな言葉を零すと同時に、ヒルデは瞳から涙をぼろぼろと零しはじめる。
「ニアズさん……勝手に『花』を植えて、ごめんなさい」
「……それはヒルデが善意でオレにしてくれたことなんだろう? なら謝らなくたっていい。それに『花』についての詳しいことを教えてもらっていないなら、なおさらだ。あとは今後、他の人に対しても同じようにしなければ良い」
「うん……、うんっ、」
ニアズの言葉に応えるように頷き、声を飲み下しながら静かに泣くヒルデ。そんな彼女を落ち着かせるべく、ニアズは引き続き彼女の小さな頭をやわく撫で続ける。
「なあ、ヒルデ」
「なあに? ニアズさん」
「一応聞いておくんだが、ヒルデがオレの身体の事を隠してくれたのか?」
【戦乙女】との戦闘後。ヒルデ曰く死亡したオレの身体は、オレの意図せぬ状況下で医療班やソールたちの目に触れることとなった。が、目覚めたオレに対し彼らが言った言葉は「身体が頑丈でよかったな」という事だけだったのである。
好奇心の旺盛なソールは勿論、医師をも含めた誰もがオレの身体に流れている竜種の血について話題にもしない。となれば【戦乙女】との戦闘を【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】越しに見ていたヒルデが、オレの身体が『ヒト』に戻りきるまで時間稼ぎをしてくれていた――と、考えた方が妥当だろう。
「……う、うん。一応そうなる、かな」
「一応?」
歯切れの悪いヒルデの言葉に疑問を向ければ、彼女は気まずそうにオレから視線を逸らす。
「えっと、『花』がニアズさんの身体に馴染んでいくのを確認してたら、ニアズさんの身体から竜の鱗とか、その靴とかが勝手に剥がれていっただけ、なの。だから、わざと隠していたわけじゃなくって、あ! で、でも! ニアズさんの身体のことは、誰にも言ってない、です!」
ぎゅっ、と黒い鱗で作られたニアズのコートを掴み、ヒルデは自身の眉尻を下げる。
「も、もしかして……隠さない方が良かった、ですか?」
「まさか。むしろ隠してくれてありがとう。今はまだ周りの奴らにオレが【呪い在りし竜】の血を引いていることを知られたくないからな」
「【呪い在りし竜】?」
「ああ。シグルズさん曰く、オレは【呪い在りし竜】という竜種を祖としているらしいんだ」
不思議そうな顔をし、【呪い在りし竜】の名を呟いたヒルデにそう説明するニアズ。だがその説明を受けても尚、疑問は晴れなかったらしい。彼女は疑問の色を浮かばせたまま「本当に、【呪い在りし竜】なの?」と呟いた。
「え?」
「でも、ニアズさんがそれで納得しているのなら、良いのかもね」
まるで自分の発言を隠すように「ふふっ、」と微笑むヒルデ。そんな笑みに同調するように、「それで良いよな」と一人納得したオレは、ずっと撫で続けていたヒルデの頭から生える白い『花』に指を絡ませる。
ヒルデは小さくて、弱くて、脆い。オレが守ってやらなければ、誰からも守られることのない弱者。だというのに、どうしてソールは「数年経っても成長していない」などと言い、オレから彼女を遠ざけさせようとしたのだろうか? 彼女は――、ヒルデは――、オレが守ってやるべき存在であるのに。
ヒルデから漂う『花』由来の甘い香り。ソレに誘引されるようにして、ニアズは彼女の細い首を掴もうと手を下ろす。しかしその手は、ヒルデがふらりと動いたことにより、宙を掻いた。
「ねぇ、ニアズさん。ニアズさんは、わたしが怖い?」
どこかぼんやりとした思考の中に居るニアズに対し、少し離れた場所からそう訊ねたヒルデ。
確かその質問は、出会った時にもしてこなかっただろうか? と、当時のことを思い出しながらニアズは逡巡する。
「『怖い』、とは思わない」
「なら、得体が知れない、とかは?」
「得体が知れない。は確かにあるが、むしろ『知りたい』という欲の方が強いかもな」
「……『知りたい』? それは、わたしについて……?」
まさか自分自身についての事を『知りたい』と言われるとは思っていなかったらしい。瞼を何度も瞬かせて、ヒルデは「そんなこと、ある?」と目を泳がせる。
「あるに決まっているだろ。何しろオレはヒルデについて、知らないことばかりなんだから」
「えっと……なら、例えばどんなことを知りたいの……ですか?」
「例えば、か。それなら、いつからこの【陸上探査艦‐ŋ】に乗っているのか。とか、何故成長していないなんて噂が流れているのか。とか、どうしてこの【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】安置室に引きこもっているのか、を知りたい」
屈めていた膝を伸ばし、立ち上がりながら現状思い至る点を列挙するニアズ。その言葉を聞いたヒルデは「なるほど?」とやや疑問気味ながらも頷き、小さなその身体をくるりと翻した。
「えーっと。わたし、ことヒルデリカは十年ほどこの【陸上探査艦‐ŋ】に居ます。そして、生まれた時からずっとこの姿で生きています」
口頭で告げた「知りたいこと」を説明してくれているのだろう。特に悩む素振りも見せず、淡々とそう告げたヒルデは「えっと、あと何でしたっけ?」と小首を傾げてくる。
「あとは、どうしてこの【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】安置室に引きこもっているのか、だな」
「ああ、そうでした。って、別にわたしは引きこもっているわけではなくって……! ただ単に、外に出る必要性が無いし、みんな、わたしを怖がって、嫌がるから……だから、関わらないようにしてあげているだけなの……、です!」
「そう言えば、そうだったな」
前にもそんなことを言っていたか。とニアズが思い出せば、ヒルデが「で、でも、わたしが此処に居る理由はそれだけじゃないので! 勘違いしないでください!」と慌てたように訂正しはじめる。
「えっと、実はその……此処に居る【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】たちが、わたしの妹だから……です!」
「妹? ってことは、此処にある【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】は、全部シグルズさんが作ったのか?」
「うん。この子たちはパパが作ったの。だからこの子たちは、みーんなわたしの妹。そして先に生まれたわたしが、妹たちのお世話をしてあげるのは当然のことなのです!」
「わたし『お姉ちゃん』ですから!」と、堂々と胸を張りさえしながらそう語ったヒルデは「これで少しは、わたしを知ることが出来ました、か?」とニアズの方へ近づく。
「多少は、な。だけど……」
「だけど?」
「ヒルデは自分の事を、生まれた時からずっとこの姿で生きている。と言っていたが、普通ではそんなことあり得ない」
「つまり、わたしは異常であると?」
「違う。異常だと言いたいわけじゃない。ただ、その姿で生まれて、その姿のままで居続けているのは不思議だと思っただけだ。普通は、赤ん坊の姿で生まれて、徐々に成長して、大人になるから……」
子供の見た目にそぐわない冷ややかさを纏ったヒルデに対し、即座に言葉を選びながら弁明するニアズ。すると彼の前に居るヒルデが「なるほど」と、纏っていた冷ややかさを解いた。
「でも、ごめんなさい。ニアズさんのその疑問を晴らすことは、わたしにはできない……です」
「それは、どうしてだ?」
「だって、わたしは何も教えてもらってはいないから。わたしはただそう生まれて、そう在り続けているだけ。……だから、ごめんなさい」
ぺこり、と頭を下げたヒルデ。そんな彼女を無視するわけにもいかず、オレは改めて彼女の前で膝を折り、屈みこむ。
「気にしなくて良い。オレだってどうして自分が【呪い在りし竜】を祖としているのか知らないし、使い方だって完璧に理解していないからな」
「それならニアズさんとわたしは、自分を知らない者同士なの……ですか?」
「自分を知らない者同士、か。まあそうだな」
顔を上げ、嬉しそうに笑ってみせるヒルデに頷き返し、オレは彼女の頭を撫でるべく手を伸ばす。だが次の瞬間、もはや聞きなれたと言っても過言ではない警報音が鳴り、「【飛竜】が出現! 本日の戦闘班並びに、手隙の戦闘員は至急出撃せよ!」と緊迫感を帯びたフィオナの声が響き渡った。
そう言えば、以前もこんなふうにしてヒルデとの時間を邪魔されたな。と、警報の間の悪さに恨めしさを抱いていれば、停止していたはずの船がいきなり動き始めた。
「わわっ!?」
急な船の動きに体勢を崩し、前のめりになるヒルデ。そんな彼女を支えようと両手を広げれば、ぽすん、とヒルデの小さな身体がオレの胸へ飛び込んでくる。
「っと、ヒルデ大丈夫か?」
「へ、あ……? だ、大丈夫、です?」
「そうか、ならよかった」
戸惑い気味に返事をしたヒルデから手を放し、オレはゆっくりと立ち上がる。
「ニアズさん、行くの?」
「ああ、そのつもりだが、どうかしたのか?」
「……行くならまずは、管制室に居るフィオナちゃん……えっと、艦長さんから許可を貰ってにして、ください。勝手に行くと、後でフィオナちゃんが怒るので……」
「分かった、まずは管制室に行ってみる。……だが、ヒルデはどうするんだ?」
「わ、わたしは妹たちを出撃させないといけないから、此処に残ります。ニアズさんは、一人で管制室に行って、ください。あ、……それとも管制室までの道順、忘れてしまい、ました?」
なかなか部屋から出ていこうとしないオレの態度から想起したのだろう。真面目な顔をしたヒルデにそう訊ねられたオレは思わず「ははっ」と笑い声を漏らしてしまう。
「いや、ちゃんと覚えているから大丈夫だ」
「そ、それなら、ほら早く……!」
躊躇いなくニアズの手を掴んだヒルデは、【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】安置室の扉まで彼を先導し、廊下へと押し出す。
「っと。じゃあ、行ってくる。ヒルデも妹たちを出撃させたら安全な所に行くんだぞ」
「うん、行ってらっしゃい。ニアズさん」
安全な所に行く。という事柄については一切触れることなく、ニアズに向けてひらひらと手を振るヒルデ。彼女に見送られながら【|自己修復人形《BA-クティリエ・ロイド》】安置室を後にしたニアズは、管制室へ向かうべく足早に移動する。だが彼が管制室の扉を目前にしたところで、狭い廊下で群れを成しているドゥムたちにその行く手を阻まれた。
「おいおい、愉快なオトモダチも連れず、ガキ一人でどうしたんだぁ?」
「ドゥムさん、コイツ、怪我をしたからって船に置いてかれてるんっすよ」
「カワイソーっすよねー!」
「ワリィワリィ、そう言やぁそうだったなぁ!」
げらげらと下卑た笑いで見下してくる男たち。しかしそんな彼らを無視し、群れの内を無言で素通りしようとすれば、取り巻きの一人がオレの肩を掴んだ。
「テメェ! ドゥムさんを無視してんじゃねえぞ!」
「暇なアンタたちとは違って、オレは急いでいるんだが?」
肩を掴む男の手を叩き落とし、オレはその人物を睨みつける。
静かな怒りを纏わせたニアズの瞳。ソレに刺されたドゥムの取り巻きは怖気づくも、傍らにドゥム本人が居る手前、後にも引けないのだろう。ニアズに危害を加えようと、「テメェ!」と声を発し、男は拳を振り上げる。――が、その拳は隣に居たドゥムによって止められた。
「あ、アニキ……?」
「コイツはオレ様の獲物なんだがなぁ? 勝手に手出しするたぁ……いい度胸だなぁ、オイ」
「ひ、ひいぃいいいっ!」
取り巻き。いわば「仲間」であるはずの男を片腕で持ち上げたドゥムは、まるで鎚のように男を振り上げると、勢いよく床へ叩きつけた。
「ソイツ、アンタの仲間なんじゃないのか」
「仲間だぁ? ヒヒッ、オレ様がテメェみたいにオトモダチを連れてると思ってんのか?」
「違うのか?」
ドゥムによって床に叩きつけられた男は気を失っているらしい。ぴくぴくと手足を痙攣させている姿を哀れに思いながら、ニアズはドゥムを睨み上げる。
「違ぇんだよなぁ。コイツらはオレ様の奴隷だよ。生きるのに困ってたコイツらを、オレ様が金で買ってやったんだ」
「なるほどな」
もとよりドゥムと会話をする気のないオレは、必要はないだろう。と早々に見切りをつけ、オレは管制室へと向かうべく、彼らに背を向ける。だがその関心のなさが気に入らなかったらしい。先を急ごうとたオレに対し、背後からドゥムが「そういやぁテメェ。オレ様が試験の時に狙った、あの薄気味わりぃガキに好かれてるんだってなぁ?」と、ヒルデについて話しはじめた。
「噂じゃあのガキ、此処の奴らにスゲェ嫌われてるらしいなぁ? どうせテメェも、あのガキに付きまとわれて困ってんだろ? だったらオレ様がその薄気味わりぃガキを――っ!?」
振り返り様に至近距離にいたドゥムの足元を蹴り飛ばし、オレは彼の体勢を強制的に崩させる。そして、揺らめき前のめりになった彼の胸ぐらを強引に掴むと、壁に打ち付けるように叩きつけた。
「オレの前で、二度とその薄汚い口を開くな」
「ッ!」
自身の胸ぐらを掴むニアズを引き剥がそうともがくドゥム。しかし黒衣の下で【呪い在りし竜】の力を解放しているニアズに腕力で叶うわけもなく、彼の抵抗は無為に終わり続ける。
「取り巻き共を連れて、さっさと此処から失せろ」
未だ抵抗の意思を見せるドゥムを視線で突き刺し、ニアズは彼から手を放す。
「チッ、……テメェ何時か覚えてろよ!」
憎々しげにニアズを睨み落した後、何かを考え付いたらしい。「ああ、そうだ」と笑みを漏らしたドゥムは、取り巻きたちを顎で使いながら、管制室の前から立ち去って行く。
笑みを交えながら、異様な程大人しく引き下がっていったドゥム。その後ろ姿に嫌な予感を抱きながらも、ニアズは目前にまで辿り着いていた管制室の扉を開いた。




