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第12話

 夕食はすぐに出来上がり、すぐに食事を開始する。

 野営なので、テーブルや椅子などはない。精々あるのは衣服が汚れないようにするための敷物くらいだ。

 

 その敷物に腰かけた私たちは、夕食をじっと見た。

 野菜スープとパンだ。

 パンは少し堅めの保存が効くものだ。


 私としては、焼き立てのパンの方が好きだけど旅先では仕方ない。

 このパンをスープにつけ、ふやかして食べるのが基本的な食べ方なんだけど……。

 その前に私はスープの入った器を口元に運ぶ。

 スープを吸ってみると、塩味が良く効いていた。

 

 具材は野菜だけだと聞いていたけど、肉も入っている。魔物の肉かな? 

 とても美味しく、優しい味付けだ。

 そう思ったのは私だけではないようで、隣に座っていたラツィが目を輝かせた。


「これ美味しいわね! アレア、料理得意なの!?」

「そうですね。家ではそれなりに作っていました。でも、作ったのは私だけじゃありませんから、他の方が上手だったんですよ」


 柔らかな微笑を浮かべていたアレアだけど、彼女の料理の腕が間違いなく高いのは確かだと思う。

 私とラツィは皿の準備くらいしかすることがなかったので、それからずっと料理の様子を眺めていた。


 皆が皆料理が得意というわけではなく、基本的にはアレアが指示を出して料理を行っていた。

 この味付けにしたって、アレアが指示を出したおかげだろう。


 私は手元のパンをスープにつけて、柔らかくなったところで口に運ぶ。

 うん、美味しい。

 お肉をパンで挟み、ハンバーガーでも食べているような気分で口へと運んでいく。


 そうして、夕食の時間は過ぎていき、何度もおかわりしていたラツィが満足げに腹を撫でていた。


「野営でこんなにおいしい料理を食べられるなんて思ってなかったわ!」

「満足してくれたようで良かったです。ラツィさんとルクスさんも、野営のためにも料理は覚えておいたほうがいいですよ?」

「私もまったく料理しないなんてことはない」

「そうなんですか?」

「うん。冒険者の時は、魔物を焼いて食べてたし」


 魔物を丸焼きして食べられそうな部位を食べていた。

 ティルガがその辺りは詳しかったので、生活で困ったことはなかった。


「それはまた豪快ですね」


 アレアが微笑んでいる。

 私とラツィは、せめて後片付けくらいはと思い、食器などを片付けていく。

 それが終わったところで、私たちは用意されていたテントへと向かう。


「ティルガも一緒に寝る?」

「さすがに狭いだろう。我は外で大丈夫だ」

「風がちょっと冷たいから気をつけてね」


 ティルガにそう言って、私はテントへと入る。

 テントには、すでに寝袋が三つ準備されている。

 三人で寝ると確かに少し窮屈に感じるかもしれない。


「それじゃあ、また明日のためにも休みましょうか」

「夜の見張りは誰がしてるの?」

「騎士の方たちがしているようですよ。まあこれだけの集団ですからよほどのことがない限り何かがあることはないと思いますよ」


 アレアが言う通り、常識のある人間なら襲ってくることはないだろう。

 これだけの集団にちょっかいかけられる夜盗がいたとしたら、よほどのバカか実力ある者たちだ。

 寝袋で横になって、目を閉じる。

 普段とは違う環境だけど、決して寝づらいということはない。冒険者として野営をすることもあったので、環境が多少変化したくらいでは問題ない。

 目を閉じ、うとうととしたところでラツィの声が響いた。


「ねぇ、魔物発生の原因が次元穴って聞いてる?」

「うん、私も聞いた」

「次元穴が本当にあったら大変よねぇ。ていうか、最近どんどん世の中おかしなことが起きているわよね」

「魔人とか?」

「そうそう。今までそんなのって現実的じゃなかったでしょ? 次元穴だって数年に一度くらいでしょ? ついこの前も別の場所で次元穴があったって聞いたし」


 ラツィの言う通りだ。


「何も、大きな事件が起きなければいいですけど……」


 不安そうなアレアの声が聞こえた。 

 ……大きな事件、かぁ。

 ティルガも言っていたけど、魔人が増えているのは確かだ。

 強い魔人と戦えるのはいいことだけど、この前の事件のように誰かが犠牲になるのは嫌だ。

 

 何も、被害が出ないで強者と戦えればいいんだけどね。

 そんなことを考えていると、隣から寝息が聞こえてきた。

 顔を向けると、ラツィからだった。


「私たちももう寝ましょうか」

「うん、おやすみアレア」

「ルクスさんもおやすみなさい」


 私も目を閉じた。


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