表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/85

第39話



 寮に戻った私は、そこで待機していたティルガを連れ、精霊術師棟へと戻ってきた。

 言われた通りの十時ちょっと前に到着したけど、すでに一階には四人が集まっていた。

 全員女性だ。そして、ベールド様は全員新人とも言っていた。


 ラツィとアレアはもう話しているので知っていたけど、向こうの二人の女性は初めてになる。

 年齢は私たち三人よりも年上っぽく見える。二十半ばくらいだろうか?

 

 目があったので軽く会釈しようとしたけど、ぷいっとそっぽを向かれてしまった。

 む、なんだか少し態度が悪い。二人はどうにも、私を敵視しているようだった。


 挨拶をする気もなくなってしまい、私はアレアたちの方へと向かった。

 よく見れば、アレアたちと向こうの女性たちの間にも一つ線のようなものが引かれていた。

 この新人グループは、私たち三人と、向こうの新人二人で完全に別れている。


 アレアたちに向こうの二人について聞こうとしたところで、一階フロアの空気が分かりやすく変化した。

 すたすたと一人の男性が歩いてきた。

 その男性に対して、他の四人が皆敬礼をしている。偉い人みたい。

 私も少し遅れて敬礼をすると、その男性は私たちを鋭い目で見てきた。


「オレは第一師団、師団長のメトルだ」


 第一師団の人だったんだ。

 確かに胸のところに一を示す文字が刻まれていた。


「ここに集まってもらった五人には、これから任務にあたってもらうことになる。宮廷精霊術師としての初任務になると思うが、頼んだぞ」


 彼の激励に私たちはこくりと頷いた。

 メトルがフロアから出ると、張り詰めていた空気がいくらか和らいだ。

 私の前に立っていたアレアも肩から力を抜いていて、私の方を見てきた。


「出発は十時半みたいです」

「そうなんだ。集合場所は?」

「またここに来ればいいみたいですよ?」

「そっか……」

「私は一度、事務室に戻ります。……ちょっと聞いておきたいことがありますので」

「そっか。そういえばあっちの二人なんだけど……」


 私は先ほど聞けなかった新人二人について質問する。

 すでに二人はこのフロアからいなくなっており、直接話すことはできなかった。

 しかし、私の質問はどうやらダメだったようだ。

 ラツィがふんと腕を組んでそっぽを向いた。


「あいつらはどうでもいいわよ! あたしはちょっと部屋に行って精神統一してくるわね!」

「……あっ、うん。……何かあったの、アレア?」

「私も直接見たわけじゃないですけど……喧嘩したみたいですね」


 ああ、そっか。

 ラツィの性格だと基本的にぶつかりそうだもんね……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ