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第27話


 入団式は滞りなく終了し、私たちはそれぞれに分かれて建物へと入っていった。

 私の隣に並んだベールド様がこちらの顔を覗きこんできた。


「良かった良かった。無事合格してくれて嬉しい限りだよ」

「うん、頑張った」

「その通り。ルクスはよく頑張ってくれたよ」


 パチパチと拍手をしてくるベールド様に、悪い気はしなかった。

 第三師団が事務作業で使っている事務室へと入ると、ファイランが席に座っていた。


「久しぶりね。制服、似合っているじゃない」

「ほとんど変わってない」

「ふふ、そうね。サイズが合わなければ調整も可能だけど大丈夫?」

「うん、問題ない」


 ファイランがまるで母親のように心配してくる様子に苦笑する。

 一緒に入ってきたベールド様が、一番奥の席へと向かい腰かけた。


「改めて、よろしくねルクス」

「よろしく」


 ぺこり、と頭を下げるとベールド様はファイランへと視線を向けた。


「それじゃあファイラン。予定通りキミに指導はお願いするね」

「分かったわ。それじゃあ、ルクス。とりあえず今日は宮廷内を見て回りましょうか。暮らす場所とかも確認しておきたいでしょ?」

「分かった……あーいや、分かりました」


 今日からもう私はファイランの部下なんだし、この辺りはしっかりした方がいいかもしれない。

 そう思って私が言葉遣いを訂正すると、ファイランがくすりと笑う。


「いや、今まで通りでいいわよ?」

「でも……」

「いいから。私としてもその方が接しやすいわ。これから、魔物狩りとかを行うこともあるだろうし……自然に接したほうが何かといいでしょ?」


 確かに冒険者とパーティーを組む時は基本的に上下関係は気にしないことが多かった。

 そもそも、そういった学がないのもあるのだが、命の危険がある状況で、即座に命令が出せるようにという意味があってだ。


「僕にも、親しくしてくれていいんだよ?」

「分かった」

「あれ、僕の時は迷いないね?」

「だって許可出してくれたし」

「僕に対してやっぱり雑だよね。そういう反応久しぶりで嬉しいなぁ」


 なんだか嬉しそうに体をよじっている。……変態かもしれない。

 ファイランはそんなベールドに苦笑を浮かべている。


「そういえば、宮廷精霊術師たちの階級とかってルクスはどのくらい知っていたかしら?」


 事務室を出る前に、ファイランが首を傾げてくる。

 たぶん、私が考えていたものである程度は合っていると思うけど……どうだろうか?


「……まだあまり良くは分かっていない」

「そうよね。まず、このバッジを見ればだいたい分かると思うけど……これはどこの部署でもだいたい同じだわ。一番偉い人が金色のバッジをつけていて、二番目に偉い人が銀色のバッジだわ。そして、それ以外の人たちは銅色ね」

「なるほど……」


 良かった、私の予想通りだった。


「あとは……私たち宮廷精霊術師の立ち位置についても理解しておくことね」

「私たちの立ち位置?」

「そう。まず、宮廷精霊術師の下には宮廷騎士団、騎士団、精霊術師団があるの。私たちは必要に応じて彼らの中から兵を徴集する権利があるわ」


 騎士団、精霊術師団は宮廷以外のものだろう。


「……そうなんだ。宮廷騎士団も私たちの下になるの?」

「ええ。ただまあ宮廷騎士団とは連携して何かをすることが多いから、あまり横柄な態度はとらないようにね? ほとんど同格だけど、有事の際には私たちの命令で動いてくれるってくらいに思っておいた方がいいわね」

「分かった」

「それじゃあ、基本的なところは以上ね。あとは宮廷でも見て回ってきましょうか」

「うん、分かった」


 ファイランとともに部屋を出ようとしたときだった。

 ベールド様が微笑んだ。


「歓迎会はまた皆が揃ってからやろうと思っているから。期待していてねー」

「歓迎会。……分かった、とっても派手なの期待してる」

「あっ、やっぱりそこまで期待しないでね」

「……むぅ、それは残念」


 冗談まじりにそんなやり取りをして、私たちは部屋から出た。



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