1 森のミィカ
「水…火…芋…あー、肉が無いな」
私はミィカ。
自給自足の魔法使いです。
ババァじゃないよ。15の乙女よ。
生まれも育ちもこの小屋と森。
気づいた時から、この小屋にいた。
それまでどうして生きてたかは、まあズバリ言うと、妖精さんだ。
いるんすよ。お世話妖精。
そんなこんなで、生まれてから小屋で暮らしてますとさ。
めでたしめでたし。
生きてるんだからいいじゃない。命は繋がってますよーだ。
とまあかれこれ15年。
何してたかって言うと、魔法で遊ぶことだけだ。
魔法の先生は妖精さん。
なんだけど、この妖精も実は私の魔力だったりする。私から溢れた魔力が形をとって、私に魔法を教え始めた。多分。
今では、これは行き場のない魔力がその出口のために魔力源の保護と魔力の使い方を示したと推測している。
確かめようがないけどな。
基本的な魔力の扱いはとっくにできた。
生活の為になるようにいろいろ研究している。妖精ももう役割はとっくに終えてるけど、たまにそこらで遊んでる。
おい勝手に私の魔力使うんじゃねぇ。
私の得意な魔法ですか?ただの具現化魔法です。
これ便利なんよ。
魔力を固めて固体を作ると、使い捨てのフライパンとかできるし。火元も魔力を火にするだけで十分。わざわざ火の属性の魔法使わなくてもいい。薪もすぐそこにあるしな。
「鹿でも取ってくっかー」
それよりも、今は魔法より肉だ。
「鹿じゃなくて人間がかかった」
鹿用の罠を見に行くと人間がいた。小娘だ。私よりも。
…流石に食うのはまずいよな。
人生初の人助けするか。
「おい、あんた、生きてるよな?」
新しい魔力も感じる。
まだ生きてて、体が魔力を作ってる証拠だ。
呼びかけながら揺するとパチリと目を覚ます。
「女か?なぜこんなとこにおるんじゃ」
「こっちが言いたい。誰だお前」
おう幼女が、喧嘩なら買うぞ。やったことないけど。
「わしは通りすがりの天才魔法少女じゃ。お前こそ誰じゃ、こんな果ての森で」
果ての森?ここのことか?
「この森のことを言ってるなら、ここに住んでる。名前はミィカ」
「ここに住んどるじゃと、いつからじゃ?」
睨むな、嘘ついてないもん。
「生まれてから15年」
「…お前さん、うちに来ないか?」
誰が行くか、帰れ。