【閑話】vergissmeinnicht - after story 1 (2)
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これは、私(朝霧雪華@これ書いている底辺のド悪人・別名:不良債権のよーなモノ)のおばあちゃんが亡くなる〇年ぐらい前の話。
おばあちゃんが亡くなってからは親戚一同が集まる事がなくなってしまったので、今はあの集まりがあった家がどうなっているかは知らない。
(従姉妹達の近況は知っているけれどね。)
当時の私の家族は年末年始になるとおばあちゃんが住んでいる関東甲信越地方のある山の中にある親戚の家に親戚一同が集まるのが決まりになっていた。
私の一家はその親戚の家から一番離れた所に住んでいた事もあり、大晦日の昼間に住んでいる所を出ると高速道路や一般道の大渋滞に巻き込まれて何時到着するかわからないのもあって、大晦日に代わったばかりの深夜の時間に出発し朝方からお昼の間ぐらいの時間に現地に到着するよう出かけた。
「ね、眠い・・・。」
私は親戚の家に着くなり思わずボヤいた。
出発があんな時間だったのと、父がエルグランドに乗っているお陰で広々とした空間で寝られると思いきや相変わらずの暴走運転のお陰でたいして眠れなかったからだ。
眠りにつけたと思えば、頭を座席のひじ掛けにぶつけて目を覚ますなんていうのを何度も繰り返していたためである。
そんな暴走運転をしていた父は父で、この家に入ってくる手前の急坂で車体の下を擦ったとかで着くなり急いで荷物を降ろさせ、車をジャッキアップし、下に潜って点検していた。
『あんな運転しているから当然だわ。納車されてまだ6ヵ月も経ってないのに何やってるんだか。』内心そう思ったが、決して口には出さなかった。出したら面倒な事になるのは分かりきった事だ。
これから数日間お世話になる叔父や叔母に挨拶を済ませ、ジャッキアップする前に急いで下した荷物を母と私と妹でお世話になる親戚の家の中に運び込む。
荷物を運び終えた頃、私を幼い頃から可愛がってくれている歳の離れた従姉妹のお姉ちゃんがやってきた。
「雪華ちゃん来たのね。いらっしゃい。」
お姉ちゃんは私の顔を見るなり頭をわしゃわしゃと撫でた。まぁあんな状態でここまで来たので頭がボサボサだったからこれぐらいされても問題はない。出かける前に綺麗にセットしたのにも関わらず、車の中での惨状のお陰で大変な事になっていたし、お姉ちゃんもお姉ちゃんで分かっててやったのはすぐに分かった。
「お姉ちゃん!ひさしぶりですー!!会いたかった!!」
私はお姉ちゃんに会えた喜びと頭をわしゃわしゃと撫でられたお陰でさっきまであった眠気はどこかに吹っ飛んでいた。
親戚の家に着き一休憩したぐらいの時だ。従姉妹のお姉ちゃんとこんな話になった。
「そういえば、他のみんなは??」
「夜には集まるって。雪華ちゃんのとこは遠いから仕方ないけど、他の人達は私を含めてみんなそこまで遠くないとこにいるからのんびり来るんだと思うよ。」
「そうなんだー。じゃ、今日の夜はまた朝まで従姉妹達とゲーム大会??」
「そうなりそうね。ま、全員あわせると14人にもなるからパーティゲームの方がいいかな?」
「うん、それいいかもー。ってお姉ちゃん、ゲームどうするの?」
「あ、用意してない。これから買いに行こうか?」
私とお姉ちゃんは山を越えて県を跨いで隣の大都市にある大型家電量販店にゲームを買いに行く事になった。
ちょうどこの時の時間は11時を過ぎたぐらい。向こうには14時過ぎには着く。現地に着いたら遅めの昼食をとって、ウィンドウショッピングをして、買うものを買って帰ってくるって計画だ。
それに、これから向かう大都市は普段お姉ちゃんが住んでいる街でもある。何かあればすぐにわかるし動けるから安心感も大きい。
両親にお姉ちゃんと買い物に行く事を伝え、お姉ちゃんが乗ってきた軽のワンボックスカーで出かけたのであった。
これから起きる事なぞ何も知らずに。
行きの道のりは順調そのものであった。一般道(二桁国道)を使って大都市にある大型量販店に向かった。渋滞にも巻き込まれず街中も比較的スムーズに走る事が出来た。
当初の計画どおり、大型量販店そばのファーストフードで食事を済ませ、目的の大型家電量販店のそばのお店で洋服やアクセサリーなどウィンドウショッピングを楽しみ、最後は大型家電量販店でみんなで遊べそうなゲームを数本買って駐車場に戻る。
私もお姉ちゃんもその時まで肝心な事を忘れていた。その日が大晦日であった事を。とっくに日は暮れていてどれだけ遊んでたのかを実感させられた。時計を見ると18時を過ぎている。急いで帰れなければならない。
下手をすればもう親戚一同全員集まっているかもしれない。あののんびりとした人達だとしても。怒られない前に戻らなくては―――。
急いでお姉ちゃんは車をだし、大型家電量販店のそばの国道にでる。その国道から高速に乗れば1時間半もあれば帰れるからだ。
ただ、その日は違った。高速手前の案内板には恐ろしい文字が。
『〇〇道 ××から渋滞45km ××まで所要時間5時間』
これじゃ21時までに戻るのは無理だ。高速がこの状況だと並走して走る国道も同じく渋滞している。そう考えたお姉ちゃんはある秘策を思いついたらしく私にこう言った。
「これから裏道で帰るから。険しい道になるけど大丈夫だよね?!」
私は親に怒られるぐらいならお姉ちゃんの判断に任せてとっとと帰った方がいいと思い、「うん」と頷き、全てを任せた。
お読みいただきありがとうございます。
続きの「【閑話】vergissmeinnicht - after story 1 (3)」は2020/06/18 00:00頃公開します。




