【閑話】vergissmeinnicht - after story 1 (1)
【ご注意】
作品の構成の都合上、一部の人にとってはトラウマを思い出させる事になるような描写があるかもしれません。
また、全てフィクションであり、登場人物、時代背景、起きた事件など全て実在するものではありません。
1話辺りの文書量が多い話につきましては分割して投稿していきます。
次話の投稿につきましては筆者のTwitter ( @SekkaAsagiri ) または、下部コメント欄でご案内します。
(案内忘れも発生するかもしれませんが、お許しください。)
【閑話】vergissmeinnicht - after story 1
あの件の後、私をいじめていた3人組が学校に来なくなってから早2ヶ月。
来なくなった理由を知り、私の身の安全を実感してから、少しずつだけど友達が増えたし、私も昔と比べて良く笑うようになった。
あの頃の自分とはもう違うのかな?そんな風に感じる。
長期休みは学校を欠席していた分の遅れを取り戻すために仕方なかった部分もあったし、普段はあんな話はしない先生達が面白おかしく色々と話をしてくれたのもあって有意義に過ごせた。
そして、今日は夏休み最後の1週間の初日。
補修も無事に終わり、高校に進んでから出来た友達の一人の伊織ちゃんが親が持つ別荘でみんなでお泊り会をやろうと提案してくれて、仲のいい女の子5人で集まり某高原にある別荘に来ている。
ここは私が住んでいる大都市からも特急で2時間、そこから路線バスで20分ぐらいで来れるぐらいアクセスのいい場所だ。
しかも、駅前から世界的に有名な仏閣までのエリアやその先の有名な湖の避暑地のエリア、奥まで進めば秘境気分の味わえる温泉まである観光地。私にとってはあの湖の畔にある場所は私が変わるキッカケになった場所。
今回のお泊り会に来ているメンバーは私にとって心許せる大切な友達ばかりだし、他の人達もお互いに心を許して話したりしているような仲間なので、とても楽しい時間を過ごせて1日が過ぎるのがあっという間に感じる。
お昼ぐらいにこの別荘に着いてからは、みんなでお昼ご飯を作って食べたり、周辺を散策したりと、今まで経験した事がないような時間を過ごしながらわいわいがやがや話していたからかもしれないけれど。
気がつくと時計の針は19:00を過ぎていて、お昼と同じくみんなでご飯を作って食べていると伊織ちゃんが何かを思いついたかのように話しだす。
「そうだ、みんな、今夜は眠れないかも知れないよー。みんなでお風呂入って出たら、ちょっと面白い事しようかなーって思うんだけどいいかな?」
伊織ちゃんと付き合いの長い元子ちゃんはなんとなーく察したようで『ああ、アレをするのね。って黙っておこう』という顔をしていたけど、それ以外の人達は何が起こるのかと楽しみになっているようだった。
「伊織ちゃん、何をするの?」
麻衣がワクワクした顔をしながら聞いたのだが、何故か元子ちゃんが伊織ちゃんが答える前にボソッと答えた。
「・・・唯ちゃん、今は知らない方が幸せだと思うよ。知ったら後悔するから。」
その答えに麻衣は目を輝かせてなんだろうなにがあるんだろうと期待した顔をしていた。
その様子をみていた私や他の人達も伊織ちゃんの意外な一面を知る事となるとは知らずに楽しみにしていた。
夕飯を終え、みんなでお風呂を済ませて、パジャマに着替えてリビングに行くと、そこには「先に準備するねー」といっていた伊織ちゃんと確実に手伝いをさせられていたと思う元子ちゃんがいる。
「唯ちゃん、もう来ちゃったの?もう少し待っててくれれば良かったのに。」
伊織ちゃんはそういうと大量に持ったロウソクを1本1本丁寧に並べている。伊織ちゃんの反対側では同じ作業を元子ちゃんがヤレヤレという顔でしていた。
「え・・・なにこれ」
私にはこれの意味がわからなかった。
「み・て・の・と・お・り・だ・よ・・・」
そう言われても私には何がさっぱりだ。???な状態な顔をしていると作業を終えた元子ちゃんが伊織ちゃんに声をかけた。
「伊織、全部並び終えたよー。って、唯ちゃん来ちゃったのね。呼びに行くって言っておけばよかったかも。」
気まずそうに元子ちゃんはそういうと何かを思いついたかのように伊織ちゃんに耳打ちし、確認をすると私にお願いをしてきた。
「唯ちゃん、悪いけど、他のみんな呼んできてもらっていい?呼んできてもらった時には、何を始めるか分かると思うよ。」
元子ちゃんと伊織ちゃんはクスクス笑いながら「よろしくね」と私を送り出した。
私は言われたとおりにみんなを呼びに行き、リビングに戻るとその光景に驚いた。
さっきまで二人がいたハズのリビングが真っ暗なのだから。
私達がリビングに入り仲間で進むとバタンッ!と物凄い音がしてドアが閉まった。そして、暫くすると懐中電灯を持って現れた伊織ちゃんがポツリポツリと話し始めた。
「ふふふ・・・今宵の宴会場へようこそ・・・今宵は百物語の世界に皆様をいざないます・・・。」
伊織ちゃんが恐ろし気な雰囲気でそういうと室内がロウソクの光で灯された。そのロウソクの数はちょうど100本。
そして、伊織ちゃんと元子ちゃんは何時の間に着替えたのかお揃いの黒い浴衣姿になっていた。
この時、私は初めて知った。伊織ちゃんの知ってはいけない一面の怖いものが大好きというのを。
まさか、ここまで仕込んでくるとは思ってもみなかった。夕飯の時に元子ちゃんが「あ~」って顔をしてた意味がこの時に良く分かった。
多分、昔から良く巻き込まれていたから知っていたんだと。
ダークサイド全開の伊織ちゃんがルールの説明をし始める。
「ふふふ・・・今宵はみなさんに怖い話を語ってもらいとうございます・・・。その話が怖いと認定されれば、1本ずつロウソクが消え、最後の1本が消えた時には・・・何が起こるかはわかりませぬ・・・みなさん、覚悟して語ってくださいませ・・・クスクス」
伊織ちゃんと元子ちゃん以外の3人はグッと息を飲み込み、覚悟を決めた。
その様子をみていた元子ちゃんが伊織ちゃんの代わりに話し始めた。
「それでは、今宵は唯ちゃんから話をお願いしたいと思います・・・。唯ちゃんは、苦難を乗り越えてこられたのですからきっと伊織様が気に入るような怖い話をご存じでしょうし・・・。クスクス」
まさか元子ちゃんまでダークサイド全開の伊織ちゃんの真似をしたような口調で言うとは思わず、えっ?と思っていたところに、まさか私が指名されるなんて思ってもいなくて、正直焦った。
私は怖い話とか小さい頃から苦手だったから殆ど知らないし、何を話したらいいのかわからない。
そんな中、Twitterを見ている時に見つけたあるド底辺の物書きの人が1日だけ公開してた話を思い出した。
とりあえず、この話をして誤魔化そう。最初だし、失敗しても多分大丈夫だと思う。
みんな優しいから怒られないで済むハズ。
お読みいただきありがとうございます。
予定では7月か8月ぐらいに投稿を考えていたのですが、諸事情により前倒しで公開になりました。
(ホント、無計画なのは私の悪いとこ。反省しております。)
続きの「【閑話】vergissmeinnicht - after story 1 (2)」は2020/06/17 00:00頃公開します。




