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recollection  作者: 朝霧雪華
第 1 話 Beginnig
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第 1 話 Beginnig (1)

 【ご注意】


作品の構成の都合上、一部の人にとってはトラウマを思い出させる事になるような描写があるかもしれません。

また、全てフィクションであり、登場人物、時代背景、起きた事件など全て実在するものではありません。


1話辺りの文書量が多い話につきましては分割して投稿していきます。

次話の投稿につきましては筆者のTwitter ( @SekkaAsagiri ) または、下部コメント欄でご案内します。

(案内忘れも発生するかもしれませんが、お許しください。)


 【筆者からのお詫び】


私的に色々(体調不良や身内や親族が関係する問題など)と重なり、しばらく書けずにいたという醜態をやらかしてしまいましたお詫びとして、本作品の最初の5話分を数時間おきのペースで公開します。

本当にごめんなさい。

間違えて書きかけのまま放置状態になっている作品の原稿データ入ったNASをゼロフィルして消失させた&バックアップが保存してあったSDカード紛失するなんてミスをしてたなんてまさか口が裂けても言えません。

仕方ないので、今まで書きかけて公開した作品は一から書き直しています。(書き直し終わるまで書き書けたままの作品は更新ストップになると思います。)

遅筆&色々とネタは思いつくのはいいけど、鶏のように記憶が吹っ飛んでいく〇〇な筆者でごめんなさい。反省はしています。後悔はしても無駄なので諦めてます。

第 1 話 Beginnig


 僕の人生はあの日、あの時から変わったのかもしれない―。

そして、これからも変わり続けて行く―。

あの出会いが全てのはじまり―。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 それは、何時もと変わらぬ日常が繰り返されるだけの毎日が続くと思っていたある日の事だった。

何時もと同じ毎日―。何時もと同じ場所―。

窓の外には大都会の景色が広がる。

僕がいる場所は、第二次世界大戦後は刑務所として戦犯達が収容され、死刑執行が行われ、多数の命が散った場所でもあり、この場所に収容されたにも関わらず占領軍との裏取引で刑を免れた者達もいたという明暗の差が生まれた場所の跡地にできた高層ビルのビジネス棟の中だ。

そういう場所であったのもあってか、怪談話も多くあるのだが、今はそんな事を語るべきではないだろう。

このような場所で僕は、世間一般のイメージするのとは異なる、決して綺麗とは言えない、むしろ汚いとも言えるような業界で働いていた。

 

「やってられね」

僕はそう呟き、先の見えないこの状況を何時まで続けねばならないのかという自問自答をしながら、休憩所に向かう。

今日で会社に泊まり込むこと2週間目。

正直、限界に来ていた。

次期社長ともいえる社長の息子が何処からか受けてきた大型案件であり、察しのいい人であれば気がつく、裏にはまともではない重要人物の関わりが見え隠れするプロジェクト―――既存ベースの製品で賄えるものであるのにも関わらず、多額の開発費がかかるプロジェクトとして扱われ、求められている仕様と実態が全く異なる頭の痛くなるようなものの責任者を任されていたからだ。

このプロジェクトは完全な政治案件。裏金作りの為のアリバイ工作。上層部の言動をみていれば、何処の省庁と誰が関わっているかはあきらかだろう。

  

 休憩室に入るなり、自販機でットボトルの紅茶を買い、大きくため息をついてしまった。

この会社に入って数年は経つがここまで滅入る仕事は今までなかった。

数字上の帳尻合わせの為に、協力会社を使い、人員数も誤魔化す。そんなのが主な仕事。

やりがいもなければ、達成感もない。ただただ時間を浪費し「やってる感」「やりました感」をだすだけの毎日。何の為に働いているのだろうかと。

ましてやどんなに残業しても、給与には反映されない会社で無駄な時間を浪費する苦行。

「生きる意味」「働く意味」それすらも感じられない辛い時間を浪費するだけ。

 

そんなもやもやした気持ちを抱え込んだまま、ぼけーっとペットボトルの紅茶を飲んでいると突然声をかけられた。

 

「おう、大丈夫か?」

声をかけてきた主は宮田部長。

何社もの面接を受けては落とされる。そんな日々を過ごし、絶望感を感じていた僕の採用を決め、直属の部下としてこの業界で生きるすべを教えてくれた上司。

「すいません、ぼけーっとしてました。」

すまなそうにそう答えると部長は心配した顔をして

「だろうな。あんな案件を受けてこっちに押し付けてきたあのドラ息子と一部の連中は何を考えているのだか。」

この案件では宮田部長も相当参っているようであった。

それもそのハズ、一部の週刊誌で政界汚職の疑惑の一つとして報じられるのではないかという噂があった。 


二人してため息をついた。

これからどうなるのか、これからどうしたらいいのかという思いの詰まったため息。

ふと何かを思い出したように宮田部長が切り出してきた。

「ま、我々だけではなく総務の永岡部長もこの件では相当頭を抱えているようだからな。勘のいいお前さんなら気がついていると思うが、あのドラ息子が関わっている件だ。まともなわけがない。その尻拭いをさせられるのは彼だから仕方ないのだろうけど。」

「・・・でしょうね。僕にはこの案件がどれほどのものなのかはわかりませんが。」

そう当たり障りのないように答え、薄々感づいてはいた事は敢えて言わないでおいた。


 そんな話をしていると休憩室に向かってくる足音。

その音がどんどんと近づき、ゆっくりとドアが開き、一人の男性が入ってきた。

「おや、噂をすればなんとやら」

やつれた顔で入ってきたのは、総務部の永岡部長であった。

「永岡部長、こんな時間にここに来られるのは珍しいですね。」

「ああ、さっき社長に呼び出されてな。ホント、あの馬鹿(ドラ息子)はなんも考えてねえわ。」

その一言で何の件で呼び出されたか察しがついた。

何やら面倒な事になりつつあるのだろう。永岡部長は、あのドラ息子の従兄弟という事もあり、何かあればすぐに社長に呼び出されて、どうするべきかの話し合いになる事が多い。

社内では公然の秘密のような状態になっており、専務や常務と永岡部長が至急の呼び出しをされた場合は非常事態かもしれない、と言われるほどだ。

三人揃ってため息をついた。

室内に流れる何とも言えない空気。その空気はどんよりと重苦しい。

お読みいただきありがとうございます。

続きの「第 1 話 Beginnig (2)」は2020/05/16 01:00頃公開します。


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