①-8
そんなことが合った次の日のことだ。
空海と一緒にラボに到着するとマネキンが置いてあった。まるで、漫画でヒーローが着ているような鎧をつけて。
それを見て僕はもちろん興奮したさ。
「空海、これって!」
「ああ、そうだ。お前に合わせて作ったヒーロースーツだ。今までの格好じゃ不審者すぎるし、何よりもあんな格好じゃいくらお前でも勝ち目は無い。それにダサい」
分かってはいたが、そんなに言わないでくれ。あとダサいは止めてくれ。
そして、僕はそのスーツを触りながらじっくりと見る。
基本は機械の鎧のようなものみたいだ。色は白銀と黒で構成されていて、クールな印象を持たせる。
頭の部分は特徴的な形をしていて、まるでうさぎの耳のようなモノが付いていた。
「イメージはうさぎだ。ネットに乗ってる動画なんか見るとよくぴょんぴょんと飛び跳ねていたからな」
「確かに僕自身もそんな風に思ってはいたけれど……。もっとカッコイイ動物が居たんじゃないの?」
「十分カッコイイだろうが」
「確かにその通りだけどさ」
確かに見た目でうさぎのようなモチーフだと分かるが、それでいてカッコよさもある。
僕があまりにも目を輝かせてみていたからだろうか、空海が何かしていた手を止めて僕に声をかける。
「着てみろよ」
「いいの!?」
「何のために昨日徹夜で作業したと思ってるんだ?」
通りで薄っすらと目の下にクマが出来ていると思った。
そうして、僕はそれを空海の説明を聞きながら着ていく。
「とりあえず着てみたけど、少しサイズ大きくない?」
着たのは良いけど、少しぶかぶかだ。着やすかったけどコレじゃあ激しい動きをしたら脱げてしまう。
「首元、手前の左の方だ。押してみろ」
僕は言われるがままにそこに触る。すると、軽くカチッとボタンを押したような感触が合った。
すると、今までぶかぶかだったのが体にピッタリとしたサイズになる。
空海はにやりと笑い、やってやったぜ、と言う顔をしていた。
「ほら、どうだ?」
「悪かったよ」
「そんで、最後に頭だ」
頭の部分を持つと、後頭部のほうがスライドして開放される仕組みのようだ。僕はそれをかぶると、今度は自動で頭にフィットした。
「なかなか様になってるじゃねえか」
いつの間にか僕を撮っていたようで、宙に浮かぶ映像がまるで鏡のように僕を映し出している。
「これは、すごい…」
小さな声で呟くと突如耳元でアビスの声が聞こえた。
『それはもちろんです。空海さまの最高傑作ですから。私の次にですが』
アビスがそういった後に視界に様々な画面が映し出される。それは自分のバイタルであったり、空海を見ればその人の情報が出されたりした。
「これだよこれ!本当にマンガに出てくる奴そのままだ!」
「最後にこれで完成だ」
空海がそう言って手を叩くと首の後ろから赤い大きい布、マントが飛び出してきた。
「正義のヒーローといえば赤、そしてマントだろ?」
「完璧だよ、空海!」
「今回はお前の反応をみたくて後からマントが出てきたが、普段は全身を着用すれば勝手に出てくる。あとそれは盾にもなるからな。防塵、防弾、刃物なんて通るわけがない上にどんな力を加えても破けることはない。それに上は3000度から下はマイナス3000度まで耐えられる」
「オーバースペックすぎるだろ」
僕は呆れたように言う。だってその通りだろう?あまりにも、凄すぎる。
僕が喜んでいるのを見て空海が、
「ほら、それでひとまずパトロールに行ってこい」
「それはダメだ」
僕は手のひらを空海に出して待ったと言うようなジェスチャーをする。
「どうしてだよ、そのスーツの性能を試したくはないのか?」
「試したいけど、ダメだ!父さんにバレちゃうよ。スーツが変わってもこんな身体能力僕しか居ないよ!」
「あー、そうか」
そして、空海は少し考え込んだ後、
「なら、こんな手はどうだ?」