表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/36

①-5

僕の身体能力がおかしくはないかって?


まあ、おかしいね。普通じゃない。どうやら僕は普通の人よりも身体能力が高いようだ。それは筋肉とかの話ではなく、漫画やアニメに出てくるスーパーヒーローのような特別な能力によってだ。


そのおかげで怪我をしてもすぐに回復する。細胞レベルで僕の体は普通とは違うからからだ。………今のはダジャレじゃないよ?


ごほん、それで僕はある時に思ったんだ。この力で誰かの役に立てないかって。漫画やアニメに出てくるスーパーヒーローのようにはなれないだろうかって。


結果はこの通り、今はまだスーパーじゃないけど誰かのヒーローにはなれている。………なっていると良いなぁ。


さて、日が暮れてきた。今日のパトロールはそろそろ終わりにしよう。


え?悪は夜にこそ蠢くって?確かにその通りだけどお父さんが心配するから中々夜は出歩くことが出来ないんだ。高校生との両立は厳しいね。やっぱり。


保護者の了解を得ているヒーローなんて頼むから言わないでくれよ?情けないったらありゃしない。


それに父さんはコレに納得していないしね。




「おかえり、私の可愛い息子よ」


父さんは帰ってきた僕にまずはハグをする。


ちなみに、僕がいつも街でヒーロー活動をしているのを知っている。何回も止められては喧嘩を繰り返していたけど、いつの間にか父さんは折れてくれた。


その代わりの条件が日が落ちてからはしないこと。無理はしないこと。銃を持っている相手のときはすぐに逃げること。


はじめはナイフだってだめだったけどそれを禁止にされると何も出来なくなっちゃうからね。なんとかそれは頼み込んでオッケーってことにしてもらった。


「父さんそろそろ離してくれない?」


帰ってきてからのハグは僕が離してと言うまで続く。


「おお、すまないすまない。いつも心配でね。何かあればすぐに俺に言うんだぞ?」


僕の父さんの見た目はハッキリ言って怖い。刑務所帰りだって言っても初対面の人は必ず信じるだろう。


そのくらい怖い。目は鋭く、体も熊のようだ。だけど、中身は料理好きで、心優しい父親だ。仕事だって普通のサラリーマンをしている。だから近所の人は普通に接してくれている。


「今日はひったくりが一人だけだったよ」


「そうか、なら良いことだ。街は平和でお前は無理をしなくてすむ。父さんにとってはそれが一番だ」


「確かにそうだけど、それでもやっぱもっと活躍したいんだよ、僕は。もっとこう、人に感謝されて街に出ればみんながヒーローだって言ってくれるような」


「今だって十分感謝されているだろう?野兎ちゃんがが来たぞって」


「それはただバカにしてるだけじゃないか…。愚か者が来たぞ!って。そんな名前じゃなくてちゃんとしたのがほしいんだよ」


「それはダメだ。それはお前が今よりももっと危険な目に合うってことになる。今くらいがちょうどいいんだ。たしかにお前を笑う奴も居るだろうがそれと同じくらい、いやそれ以上にお前に感謝している人だっている。それを忘れるな」


お説教染みた事を言われてしまった。そんなことは分かっているけど、それでも僕はヒーローになりたいんだ。


「わかった、わかったよ」


僕はうんざりしながら言う。


「わかったならいい。さあて、晩御飯にしようか」


父さんはそう言って夕ご飯を並べ始めた




次の日の放課後、僕はいつも通り街のパトロールをしていた。


「どっこかにーワルモノいなっいかなー」


ビルの屋上を飛び跳ねながら歌うようにして言う。


今日も体の調子は好調だ。これならいつ来ても───


「ひったくりだ!」


若い男の声がした。


僕はすぐに声の方に向かう。


すると全身黒一色で身を包んだ男がこれまた黒いバイクに乗って逃走しているようだった。


「確かにバイクだと少しきついね」


呟いて足に力を入れる。


車と車の間を縫うように走り、どんどんと速度を上げていく。


それに今回の犯人は幸運の持ち主なのか、道をあちこち曲がっているのにもかかわらず一回も信号に当たることなくスイスイと進んでいく。


「くそっ、このまま逃げ切るつもりか!」


僕は焦りながらも犯人を追う。今のところなんとかついていけるスピードで助かっているが、いつ犯人に振り切られるかわかったものじゃない。


だけど犯人は僕に追われているのに気がついていないのか、振り切ったと思っているのか、今は使われていないビルの中に入っていった。きっとそこがアジトか一時避難場所なのだろう。



僕はそのビルのドアの入り口に立ち、


「さて、お仕置きの時間だ」


そう言ってドアを開け中に入ったら顔に何か、ガスをかけられる。



そうして僕は気を失った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ