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①-2

初めて自分が異常だと気がついたのはいつだっただろうか。


兆候が見られたのはきっと幼稚園のときのことだろう。


僕がジャングルジムによじ登って遊んでいたときだ。登っている途中で足を滑らせて落ちた僕は足に怪我をした。幸い大怪我ではなかったがそれでもかなり血が出ていたのは覚えている。


僕が落ちた後、すぐに親がやってきた。たった一人しか居ない僕を育ててくれた人。お父さんがとても焦った顔をして来てくれた。

父親に連れられて病院に行き治療を受けた。まあ、少し大きめのガーゼを貼る程度だったけど。それでも僕のお父さんはとても心配そうな顔で僕を見つめては抱きしめた。


「大丈夫か?痛くないか?」


何度も何度も聞いてきて少しうんざりしたけど、それだけ僕を大事に愛してくれているんだろう。


そして次の日。異常なことが起きた。


朝、お父さんがガーゼを変えようとはがした時に気がついた。なぜか怪我が治っていた。大怪我ではないとは言えそんなすぐに治るような傷でもなかった。


普通ならばせいぜい血が止まってかさぶたが出来る程度だろう。いや、それでも治りが早い方だろうか。

悪いね、僕には普通の基準がイマイチ分からないんだ。


まあいい、話の続きだ。


だけど僕の怪我はキレイさっぱり、もともと怪我がなかったかのようになくなっていた。


父親はもちろんそれを異常だと気がついた。だけど病院に連れて行くことはしなかった。


僕を気遣ってくれたのだ。こんなに治りが早ければ様々な検査だけでなく、モルモットのような扱いもされるかも知れないからだろう。


大きくなった今となってはそれに感謝している。


ともかく、それをおかしいと思った父親は怪我をしていたところに前日と同じように

まるで手当をしているかのように、まだ怪我をしているかのようにガーゼを貼った。周りに気が付かれないようにだ。


そうして、僕によく言い聞かせた。




「このことは誰にも言ってはいけないよ。誰かに言ってしまったら怖い人たちがやって来て湊、君のことを攫って行くからだ。だから、絶対に誰にも知られてはいけないよ」



 

それは今でも守っている大事な約束だ───


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