①-28
「ただいま」
「おう、お疲れ」
ラボに戻るといつの間にか先に戻っていた空海がいつもの場所に座って待っていた。
僕はと言うと、どこにいればいいのか分からず、立ち尽くしていた。
そして、2人の間に沈黙と気まずい空気が流れ始めた時、この静寂を打ち破ったのは、
『お疲れさまでした、空海様、湊様』
「うん、ありがとう」
「ああ、おつかれ」
全く同じタイミングで口を開き、2人は見つめあう。
そして、
「ぷっ、はははははは!」
「ハハハハハハハハハ!」
2人で笑いあった。
「あー、その空海」
僕は空海に合ったら伝えようと、謝罪をしようと、そう思っていた。そして、それを伝えようとしたが、
「いや、止めてくれ。その先は言うな。つーか、お前は悪くねえ。オレが悪いんだ。お前をバケモノなんて言っちまった」
そう言った空海の顔は今まで1度だって見たことが無いほどの後悔が現れた顔をしていた。「すまなかった。言い訳はしない。この関係を止めると言うなら構わない。その場合はスーツはもちろん湊に託す。そしたら、お前用のサポートAIを作らなきゃあな」
「待ってよ、空海。勝手に話を進めないでくれないか?」
「いや、だがオレはお前を、お前が一番傷つく言葉を―――」
「そんなことはないよ。と言うか、ここ最近で一番傷つく言葉、と言うか、行動かな。それが変わったんだ」
「……なんだそりゃあ」
「それは、君と友達で無くなることだよ」
「はっ……、そうかよ」




