①-25
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さっきまで怖くて震え、竦んでいた足が、友のピンチだとすんなりという事を聞いてくれた。
僕はジャック・ラビットが避けるのに合わせて右から押し出すように飛び出す。
「っ!お前!」
そして、そのままガレキをギリギリで避けて転がっていった。
「何しに来た!」
転がっていった勢いでガレキの影に隠れることが出来たからだろう。いきなり僕は怒鳴られてしまう。
「死ぬ気か!」
「それはこっちのセリフだよ?空海」
「俺はスーツを着てんだよ!それにな、いくらお前でも生身の体じゃスーツに勝てる訳がねえだろ!?」
「ああ、そうだね。きっと勝てないよ」
「だったら!」
「でも、友達を見捨てる事なんてもっとできない」
「おまえ……」
「それに僕が勝てないのはあくまでもこのままだったらって話」
するとジャック・ラビットは、空海はいつもの笑い方をする。それに、スーツで顔が見えなくても、どんな顔をして笑っているのかも想像できてしまう。
「ハハハ!そうだな、その通りだ!そのままなら勝てねえだろうよ!」
「うん、だから助けて」
「ああ、当たり前だ!だから、お前も俺を助けやがれ!」
「もちろん」
そして、空海が僕の肩に両手を乗せ、
「アビス!そっちに移れ!」
『かしこまりました』
すると、スーツが空海の体からはがれ落ちる様に、小さなかけらとなり僕の体へと流れる様にくっついていく。
いつの間にか、さらにこのスーツはパワーアップを遂げていたらしい。着るではなく、くっついていくように着ているのだから。
そして、完全に僕へとスーツが移動してくるともう1人の友達が話しかけてくる。
『お久しぶりです。湊さま』
「ああ、久しぶり。寂しかった?」
『いえ、常に湊さまの現在位置は把握していたので特には』
「怖いんだけどその情報」
そんな無駄話をしていると、男の怒鳴るような大声が聞こえてくる。
「死んじまったのかァ?ったく、死体をスーツごとまとめて回収するかァ」
「湊!さっさと出ていけ!俺に気がつかれんだろ!」
「まったく、さっそく人使いが荒いなあ」
「うっせえ、期待してんぞ?」
「もちろん」
僕は、いや、私はガレキの影から飛び出し、男の正面へと飛び出す。
「お待たせ!さあ、第2ラウンドと行こうか!」




